[No.839-1]永い話
No.839-1
登場人物
女性=牽引役 男性=相手
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「若い頃は、出張を楽しめなかったんだよな」
「逆に若い時こそ、楽しめるんじゃないの?」
彼が急に、昔話を始めた。
それも、仕事の話だ。
「それこそ、“逆”だよ」
「仕事をこなすだけで精一杯で・・・」
仕事が終わったら真っ直ぐ帰る・・・そんな日々だったと言う。
「それはそれで普通のことなんだけどな」
「・・・だね」
むしろ、それの方が正解だろう。
仕事を名目にした観光の話も世にはびこっている。
「仕事もお金も余裕がないし・・・」
「それ以前に、心にも余裕がないからね」
分かる気がする。
「それでも年齢を重ねて行くと・・・」
「・・・余裕ができた・・・と?」
彼が小さくうなづいた。
「地元の美味しいものを食べたり・・・」
「ちょっとした観光もするようになったんだ」
もちろん、プライベートな時間だろう。
それにこれが仕事に生きることも少なからずあるだろう。
「それ以上に、リフレッシュできるからね!」
「自分自身へのご褒美みたいなものね?」
彼が満面の笑みを浮かべた。
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