[No.835-2]とんでもなく良いこと
No.835-2
「親切心よりも、やさしさを感じたわ」
「良い一日の始まりになったな!」
そう、本来ならそうなるはずだった。
「違うの?」
「・・・うん」
車が止まってくれた後に、問題があった。
「予想外の出来事に、ビックリしちゃって」
何もなかったかのように、そそくさと横断歩道を渡ってしまった。
「つまり、お礼をしなかった・・・と」
お辞儀するわけでもなく、声を出すわけでもなく・・・。
「車が通り過ぎた時に、ハッ!と気付いて」
「それが、すっごく心残りで・・・」
一変して、どんよりとした朝になってしまった。
「でも、そんな人は、見返りなんて考えてないさ」
彼がとんでもなく良いことを言った気がする。
「だから、あまり気にすることはないと思うな」
確かにそうかもしれない・・・彼の一言に救われた気分だ。
「そうね!私もそんな人になりたいわ」
「期待しているぞ!」
何故だか、ニヤリとした表情を浮かべた。
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