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[No.833-2]夜桜

No.833-2

「わたしぃには、あざやかに咲くっ、桜がぁ見えるけどな・・・」

どう反応していいか困る。
ふざけてる?それとも真面目に言ってる?

「まぁ、イメージはできるけど」

見慣れた桜だ。
心の目で見れば友人の言葉どおりに見えなくもない。

「なにかあったでしょ?」

何もなく、こんな場所に誘われるとは思えない。

「彼にふられちゃったぁ~!」
「ここって・・・想い出の場所?」

それ以外、考えられない。

「当時は“昼間”だったぁ・・・けぇどね」

今の友人とって、昼間の桜は目に痛いのかもしれない。

「泣いてるよね?」

さっきからの鼻声とおかしなしゃべり方の理由が今、分かった。

「だめ?」
「あんたにしては珍しいと思って」

ついでに夜桜に誘われた理由も理解した。

「今夜はありがとう・・・」
「別にいいわよ、飲めれば・・・どこでも」

コンビニで買ったビールで乾杯した。
S833
(No.833完)
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