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[No.832-1]修繕の跡

No.832-1

登場人物
男性=牽引役  女性=相手
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最近、断捨離という言葉をよく耳にするようになった。

「知ってる?」
「もちろんよ!私みたいな人が必要とする言葉ね」

それは、僕に対しても言えることだ。

「お互い、捨てられない性格みたいね?」
「・・・だな」

今日から彼女と住むことになった。
ようやく荷物をひも解いてみた結果がこれだ。

「それにしても・・・」

生活必需品以外の物が目に付く。
一人ならまだしも、同じような二人が揃えばなおさらだ。

「でも、全部必要なんだよ」

そう言い出したらきりがない。
それは僕も同じだからだ。

「・・・だよな」

物に囲まれる安心感と充実感。
そして、それぞれにまつわる想い出の数々・・・。

「これも、あれも・・・あれ?」
「・・・どうした?」

彼女の手が止まる。
その手には、ゼンマイ仕掛けのロボットが握られていた。

「これ、持っててくれたんだぁ?」
「・・・まぁな」

付き合い始めて、最初のクリスマスに彼女からもらった。
陶器製で、良く言えばアンティーク感が漂う。

(No.832-2へ続く)

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