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2018年4月

[No.837-2]3→1→2→1

No.837-2

「数字だから、何らかの数なんだよな・・・」

ごく当たり前のことを言い始めた。
けど、その考えは悪くない。

「・・・3回、3枚、3・・・3人・・・ん!?」
「人の数か!?」

何やら気付いたようだ。
自分と私に、交互に指を向けた。

「2・・・人だよな」

さすが、その手のクイズに慣れている。
ここまでくれば時間の問題だろう。

「その前は、1人・・・あっ!?」

どうやら、謎が解けたようだ。

「分かった?」
「あぁ、多分、こうだろ?」

彼は入学当初、中学からの友人3人と群れていた。
でも、ほどなくして、1人になった。
ただ、一人ぼっちになったという意味ではない。

「最初は群れてたけど、そいつらと距離を置くようになった」
「そして、私と付き合い始めた・・・」

つまり、その人数の変化をクイズにした。

「激ムズだろ、この問題!?」
「でも、解けたじゃん!それとも自分が優秀とでも言いたいわけ?」
「勘弁してよ・・・」

こんな私でも包んでくれる・・・だから、すぐに好きになった。

「それなら、俺もクイズだすよ」
「えっ!?」

彼が2の後に、1を付け加えて、“3→1→2→1”にした。

「こうならないようにお互い頑張ろうぜ!」
S837
(No.837完)
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[No.837-1]3→1→2→1

No.837-1

登場人物
女性=牽引役  男性=相手
-----------------------------
「何かの暗号?」
「そうねぇ・・・暗号クイズとでも言えばいいかな?」

最近、感じたことを素直に暗号にしてみた。

「暗号のどこか“素直”なんだよ!?」
「そうかな?」

直接答えを伝えるより、この方が良いと思った。
その方が何十倍もそれを理解できるはずだ。

「とりあえず、もう一度見せてくれない?」
「なんだぁ~結構、食いついてるじゃん!」

彼はこんな感じのクイズが好きだ。
だからこそ、あえてそうしてみた。

「どうぞ!」

暗号を書いたメモを渡した。

「3→1→2、だよな?」
「そう、見ての通り」

いくら彼でも、これだけでは分からないだろう。

「ヒントは?」
「そうねぇ・・・私たちにすごく関係している・・・それに」

入学してから、今までのことを振り返って欲しい。

「まだ、2ヶ月くらいしか経過してないぞ?」

“振り返るほど何かあったわけじゃない”とでも言いたそうだ。

「でもその2ヶ月は結構、濃いものよ」

この間に、人間関係や自分の立ち位置が決まる。
入学してからの数ヵ月は、普通の数ヵ月じゃない。

「とりあえず振り返ってみるけど・・・」

彼が腕組みを始めた。

(No.837-2へ続く)

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ホタル通信 No.358

小説の舞台裏やエピソード、作者の想いを紹介します。

小説名:No.333 みなみちゃん
実話度:★★★★☆(80%)
語り手:男性

かなり嘘っぽい作りですが、細かいところを除けば、ほぼ実話と言っても過言ではありません。

唐突ですが、クイズです。似ているアイドルグループのひとりとは誰のことでしょうか?
ヒントは至るところにあります、それもストレートに。一番のヒントは後半の“総選挙”というワードです。次に、タイトルにもなっている“みなみちゃん”です。この二つが揃えば、当時であれば答えは二人に絞られますよね。
目が、クリッとした感じが良く似ており、特に横顔が似ています。

最初は単に似てる話をしていたのですが、お互いノリノリになり気付けば総選挙の話題にまで及ぶことになりました。アイドルになりきった会話はとても楽しかったことを今でも覚えています。
本当にそのアイドルが目の前に居る・・そんな感覚さえ覚えるほどでした。
正直に言えば、目がクリッとした顔立ちが好みなので、そのアイドルもグループの中では一番のタイプです。つまり、顔のタイプだけで考えれば、その似ている人も必然的に好みだと言うことになります。

ただ、今回の話はそこについては触れずに、楽しかった時間だけを切り取り、小説にしました。
T358
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[No.836-2]祈り

No.836-2

「拝んでいたんだよね!」
「・・・」

ごく普通の話とは言わないが、かなり普通の話だ。

「からかったわけ!?」
「勝手に勘違いしただけしょ?」

そう言われると身も蓋もない。
ただ、そんな雰囲気をかもしていた友人にも否がある。

「でも、“ビックリした”って・・・」
「だって、薄暗い道端で拝んでたんだもん!」
「目が悪いから、最初は気付かなくて・・・」

私でもビックリしそうなシチュエーションだ。

「でもさぁ・・・通学路だったっけ?」
「ん?ち、ちがうわよ」

確か、私とは真逆の方向だったはずだ。

「もしかして・・・わざわざ、そこに行ったの?」
「まぁ・・・ね」

まさかこの時期に肝試しとは思えない。
それに話の流れからしても変だ。

「たまたまよ・・・たまたま!」

「・・・なるほどね」

翌日、その祠をマジマジと見て気付いた。
S836_2
(No.836完)
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[No.836-1]祈り

No.836-1

登場人物
女性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
「昨日はほんと、ビックリしたわぁ~」

話半分・・・いや、十分の一程度だと思った方が良い。

「で、今回はなに?」

毎度、どこからかネタを仕入れてくる。
例えるなら、バイヤーみたいなものだ。
ただし、腕は良くない。

「ほら、学校の北側に昔ながらの住宅街があるじゃん?」
「知ってるよ、私、そこを通って来てるから」

ちょっと、歴史を感じさせる街並みだ。

「なら話が早い!」

昨日の出来事を話し始めた。

「・・・確かに、あるよね」

祠(ほこら)と言えばいいのだろうか?
毎日、みずみずしい花が供えられている。

「そこにさぁ・・・」
「ちょ、ちょっと待ってよ・・・」

今日も部活があるので帰りは遅くなる。
かと言って、別の道を通ればかなり遠回りになってしまう。

「おばあさんが・・・」

今日は、遠回りして帰る必要がありそうだ。

(No.836-2へ続く)

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[No.835-2]とんでもなく良いこと

No.835-2

「親切心よりも、やさしさを感じたわ」
「良い一日の始まりになったな!」

そう、本来ならそうなるはずだった。

「違うの?」
「・・・うん」

車が止まってくれた後に、問題があった。

「予想外の出来事に、ビックリしちゃって」

何もなかったかのように、そそくさと横断歩道を渡ってしまった。

「つまり、お礼をしなかった・・・と」

お辞儀するわけでもなく、声を出すわけでもなく・・・。

「車が通り過ぎた時に、ハッ!と気付いて」
「それが、すっごく心残りで・・・」

一変して、どんよりとした朝になってしまった。

「でも、そんな人は、見返りなんて考えてないさ」

彼がとんでもなく良いことを言った気がする。

「だから、あまり気にすることはないと思うな」

確かにそうかもしれない・・・彼の一言に救われた気分だ。

「そうね!私もそんな人になりたいわ」
「期待しているぞ!」

何故だか、ニヤリとした表情を浮かべた。

「ところで、もうすぐホワイトデーだよね?」
S835
(No.835完)
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[No.835-1]とんでもなく良いこと

No.835-1

登場人物
女性=牽引役  男性=相手
-----------------------------
「ちょっと、聞いてくれる!?」

どうしても、話さずにはいられない。

「な、なんだよ」
「今朝ね・・・」

信号機がない道路を渡ろうとしていた時の話だ。

「えっ・・・事故ったの?!」
「・・・なら、ここに居る私は、幽霊とでも?」

冗談はさておき、話を進めよう。

「一台の車が向こうから来るのが見えて」

渡れなくもなかったが、安全のため立ち止まることにした。

「そしたら、その車も止まったんだよね」

全く予想していない出来事だった。

「でね、なんでかな?って思っていたら」

私の立っている場所が、横断歩道であることに気付いた。

「だから止まってくれたんだ」
「そうみたい」

今までそんな経験をしたことがないし、見掛けたことすらない。

「なかなか出来ないことよね?」
「そうだな」

彼も真剣な顔でうなづいている。

(No.835-2へ続く)

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ホタル通信 No.357

小説の舞台裏やエピソード、作者の想いを紹介します。

小説名:No.329 左の靴紐
実話度:★☆☆☆☆(20%)
語り手:女性

事実と言えば事実なんですが、こんなことまで小説のネタにしていることを考えれば、我ながら苦労しているんだ・・・と思います。

靴紐が解けてしまうこと、それに対して嫌な連想をしてしまうなど薄めの事実が散りばめられています。
この小説を読み返して気付いたのですが、あからさまに、何かを狙っています。それはラスト見て頂けると分かると思います・・・。
靴紐を“友情や絆”に見立てて、それが解けたり結ばれたりという方向に持って行っています。
ありがちなストリーに加えて、内容もチープなため、少し恥ずかしくなってきます。

本来なら、単に靴紐が解けただけで終わるのでしょうが、小説にも書いた通り、何か良くないことが起きる予兆であると、考えていたこともあって、この小説が生まれました。
実際、良くないことは起きなかったのですが、もしかしたら固く結び直した効果が出たのかもしれませんね。

結局、この小説は当時の不安感をかなり遠まわしに表現したものです。その不安感の象徴が、靴紐だったわけです。
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[No.834-2]着替えるだけで

No.834-2

「私たちも、似合ってないんだろうね」
「だろうな」

着慣れたリクルートスーツのはずだ。
でも、色々な意味で、着こなせてはいない。

「これから、頑張らないとね!」

その言葉は、俺たちだけに向けられたものではないだろう。

「きっと大丈夫さ!」
「・・・そうね」

俺もそのつもりで言葉を発した。

「・・・唐突だけど、週末空いてる?」
「それって、デートのお誘い?」

色々と話をしている内に、もっと彼女のことを知りたくなった。

「・・・そうかもしれない」
「うふふ・・・正直ね!いいわよ、別に」

ちょっと、卑怯な気がしないでもない。
不安な者同士の仲間意識に付け込んだ感が残るからだ。

「・・・どうしたの?考え込んで」
「ん?いや、別に・・・じゃ、あとで、またLINEする」

「お待たせ~・・・ん?なにかへんかな?」
「い、いや・・・」

スーツ以外の同僚を初めて見た。
S834
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[No.834-1]着替えるだけで

No.834-1

登場人物
男性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
「あれ、見ろよ」

突っ込まずにはいられない状況が目の前にある。

「どうかした?」
「まだ、似合ってねぇな~」

同僚がキョトンとした顔をしている。

「ほら、あの男子」

目立たなにように、こっそりと指をさす。
背恰好から、多分、中学1年生だろう。

「あぁ・・・あれね!」

ようやく意味が分かったようだ。

「確かに・・・ガバガバというか」

そう・・・学生服に着せられている・・・そんな感じだ。

「時期が時期だもんね」
「だろうな」

もちろん、自分自身もそうだった。
ただ、当時はそんなことを考えている余裕はなかった。

「不安の方が大きかったからな」
「・・・そうね」

その言葉は、今の自分にも当てはまる。

(No.834-2へ続く)

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[No.833-2]夜桜

No.833-2

「わたしぃには、あざやかに咲くっ、桜がぁ見えるけどな・・・」

どう反応していいか困る。
ふざけてる?それとも真面目に言ってる?

「まぁ、イメージはできるけど」

見慣れた桜だ。
心の目で見れば友人の言葉どおりに見えなくもない。

「なにかあったでしょ?」

何もなく、こんな場所に誘われるとは思えない。

「彼にふられちゃったぁ~!」
「ここって・・・想い出の場所?」

それ以外、考えられない。

「当時は“昼間”だったぁ・・・けぇどね」

今の友人とって、昼間の桜は目に痛いのかもしれない。

「泣いてるよね?」

さっきからの鼻声とおかしなしゃべり方の理由が今、分かった。

「だめ?」
「あんたにしては珍しいと思って」

ついでに夜桜に誘われた理由も理解した。

「今夜はありがとう・・・」
「別にいいわよ、飲めれば・・・どこでも」

コンビニで買ったビールで乾杯した。
S833
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[No.833-1]夜桜

No.833-1

登場人物
女性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
「風邪でもひいた?」

さっきから、友人の声が鼻声だ。
それに、しゃべり方もおかしい。

「う、ううん・・・たいしたことなぁいわよ」
「それなら、いいんだけど・・・」

季節の変わり目だ、私も何となく体調がすぐれない。

「ところで・・・何これ?」
「何ってぇ、見てのとおりっよ?」

友人から花見に誘われた。
それも、昼間ではなく、夜にだ。

「“夜桜”って、聞いてたんだけど?」
「だぁかっら、夜じゃん!」

言ってることは間違ってはいない。

「・・・で、どうやって楽しめって?」

さすがに、イルミネーションまでは期待していなかった。
けど、さすがにスポットライトくらいは必要だ。

「だめぇ?」
「真っ暗じゃん!」

ひと気の少ない公園の一角だ。

「夜桜よりも、肝試しに近いわよ・・・」

夜桜と聞いて、期待を膨らませて来た。
その結果がこれだ。

(No.833-2へ続く)

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ホタル通信 No.356

小説の舞台裏やエピソード、作者の想いを紹介します。

小説名:No.325 似てるけど似てない
実話度:★★☆☆☆(40%)
語り手:男性

小説上の女性が、“誰かに似ている”ことで生まれた小説は、他にもいくつかあります。

小説のネタとして、比較的扱い易いということも理由のひとつですが最大の理由は別のところにあります。
彼女が、多くの有名人に似ていればいるほど、テレビや雑誌などで見掛ける機会も増え、それだけ彼女を思い出してしまう機会も増えます。
顔が似れば声も似ることが多く、それをネタにした小説も発表していますが、ルーツをたどれば皆、同じ事実に行き着きます。想い出に苦しめられているわけではありませんが、何となく呪縛から逃れられない、そんな自分が居ます。

さて、小説では、似てる、似てないの話題は、僕から彼女に振ったようになっていますが、実際は、彼女から振られました。
そもそも出会った時、「私、○○に似ている」と、いうところから関係が始まったと言っても言い過ぎではありません。あらためて自分の好みのタイプを自覚した瞬間でもありました。

後半は、ほぼ創作でこのような会話はありませんでした。ただ、頭の中ではそう思っており、それを口にすることが出来ませんでした。
ホタル通信を書くこと自体が、ある意味“呪縛”かもしれませんね。
書くために小説を読み直し、思い出すのだから。
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[No.832-2]修繕の跡

No.832-2

「懐かしいね!」
「まだ、動くの?」

黙ったまま背中に付いている小さなハンドルを回す。
ジリジリとゼンマイが巻かれる音がする。

「見てなよ」

音楽と共に、ロボットの首と両腕が交互に動く。

「そう!これこれ!」

何の曲かは分からない。
けど、妙に心が落ち着く。

「もう、捨てられたと思ってたよ・・・」

確かに、捨ててしまおうかと考えたことはある。
陶器製だけに、何度も腕が折れてしまったからだ。

「その度に、接着剤を持ち出しては・・・」

出来る限りの修繕をおこなった。

「ほんとだ・・・アチコチにその形跡が残ってるわね」
「でも、不思議だよな」

彼女から貰ったプレゼントが彼女の元へ戻ったみたいだ。

「あっ!そうそう・・・私もあるんだ!」

パンダのぬいぐるみだ。
最初のクリスマスに僕から彼女に贈ったものだ。

「これも、修繕の跡がすごいな」

捨てられないんじゃない。
残そうとする想いが強いだけだ。
S832
(No.832完)
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[No.832-1]修繕の跡

No.832-1

登場人物
男性=牽引役  女性=相手
-----------------------------

最近、断捨離という言葉をよく耳にするようになった。

「知ってる?」
「もちろんよ!私みたいな人が必要とする言葉ね」

それは、僕に対しても言えることだ。

「お互い、捨てられない性格みたいね?」
「・・・だな」

今日から彼女と住むことになった。
ようやく荷物をひも解いてみた結果がこれだ。

「それにしても・・・」

生活必需品以外の物が目に付く。
一人ならまだしも、同じような二人が揃えばなおさらだ。

「でも、全部必要なんだよ」

そう言い出したらきりがない。
それは僕も同じだからだ。

「・・・だよな」

物に囲まれる安心感と充実感。
そして、それぞれにまつわる想い出の数々・・・。

「これも、あれも・・・あれ?」
「・・・どうした?」

彼女の手が止まる。
その手には、ゼンマイ仕掛けのロボットが握られていた。

「これ、持っててくれたんだぁ?」
「・・・まぁな」

付き合い始めて、最初のクリスマスに彼女からもらった。
陶器製で、良く言えばアンティーク感が漂う。

(No.832-2へ続く)

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[No.831-2]胸に残る卒業式

No.831-2

「そうね~」

あらためて、思い出す“フリ”をしてみた。
でも、もしかしたら何か出てくるかもしれない。

「・・・う~ん」
「で、あった?」

やっぱり何もない。
悲しくなるほど・・・。

「・・・ない・・・ね」
「普通はそうなんじゃない?」
「え、ええっー!?」

今までの会話は何だったのかと思えるほどの豹変ぶりだ。

「さっき、指折り数えてたじゃん!」
「そうだっけ?」

何事もなかったように、サラッと言い放った。

「何なのよ!?最後の最後まで!」
「お陰様で、意味不明な同僚のことを忘れずに済みそうよ!」

転職のため、この地を離れる。
だから、こんな同僚ともこれでお別れだ。

「ほんと!?」

同僚の嬉しそうな顔を見て、今、全てを悟った。
S831
(No.831完)
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