[No.829-2]指なんか立てたりして
No.829-2
「どうして?」
「ほら、懐かしい音楽が聞こえてきたから」
自然にその方向に向けて、指をさしてしまった。
「それなら、あっちじゃない?」
今度は彼女がある場所を指さす。
「スピーカーはあそこにあるのよ?」
「ほんとだ・・・」
いつもの感覚で、天井を指さしてしまった。
音楽は天井から聞こえることが多いからだ。
「・・・ん?・・・でも、まてよ」
いちいち、突っ込まれるようなことでもない。
「なんだよ・・・上げ足を取りたかったのか?」
どうでもいいことだけに、逆に腹正しくなってきた。
「初デートの時に流れてた曲なのよ?」
「えっ!?そうなの・・・」
申し訳ないが、全く記憶にない。
「そりゃそうでしょ・・・」
「随分と緊張してたみたいだから」
彼女曰く、あの時を思い出して笑ったらしい。
「今じゃ、余裕でこの曲を聴いてるから・・・」
「それに指なんか立てちゃったりして!」
(No.829完)
読み終えたら、クリックして頂けると、励みになります。
| 固定リンク | 0
「(034)小説No.826~850」カテゴリの記事
- [No.850-2]横を向いてばかりで(2018.06.27)
- [No.850-1]横を向いてばかりで(2018.06.26)
- [No.849-2]潮干狩り(2018.06.24)
- [No.849-1]潮干狩り(2018.06.23)
- [No.848-2]小鳥のさえずり(2018.06.20)
コメント