[No.824-1]恋の残骸
No.824-1
登場人物
女性=牽引役 女性=相手
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「あっ!ちょ、ちょっと・・・落としましたよ!!」
通り過ぎた自転車から手袋が落ちてきた。
「これがその手袋ね?」
私の叫びは、むなしく空を切った。
多分、ヘットフォンで音楽でも聞いていたのだろう。
「うん・・・捨てるわけにもいかなくて」
“仕方なく”持ってきてしまったのが本音だ。
「ある意味、大変なものを拾ったわね」
「・・・かもしれない」
落し物だから交番に届ければ済むことだ。
けど、そう簡単ではない。
「届けるのが嫌なんじゃなくて・・・」
これを届けたら、アレもコレもなってしまう。
「手袋、たくさん落ちてるんだもん!」
大袈裟に言えば、今時期、一日一回は手袋に出会う。
「確かに多いわよね」
今までは、落ちていても当然のごとく無視していた。
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