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[No.823-2]ヒイラギとイワシ

No.823-2

「いや、だから・・・ヒイラギは?」

間違って、イワシを二匹買ってきたのかもしれない。

「ヒイラギって魚、見たことないからさぁ」
「えっ!?」

彼女が驚いた表情を見せた。
けど、すぐに笑いに変わった。

「ぷっ・・・そういうこと!?」

吹きだしそうな笑いを、何とか抑えている感じだ。

「悪かったな!見たことなくて・・・」

もちろん、食べたこともない。

「そんなことないわよ」
「今、見てるじゃん!」

あらためて、イワシがのっているお皿を指差す。

「これがヒイラギよ」
「だから、それは・・・イワ・・・」

言い掛けて気付いた。

「もしかして・・・ヒイラギって魚じゃない!?」
「確かに、似たような名前の魚は居たと思うけど」

そう言うと、ヒイラギをそっと手に取る。

「ほら、これがヒイラギよ」
「・・・」

思い込みが招いた大きな勘違いだった。

「ほら、持ってみてよ」
「・・・痛っ!!」

鬼が嫌う理由が、身をもって分かった気がした。
S823
(No.823完)
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