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[No.822-2]携帯を持ったら

No.822-2

今なら当たり前すぎて、誰もそんなことを思わない。
けど、当時はそんな雰囲気が少なからずあった。

「・・・そう言われて見ればそうね」

笑い飛ばされるかと思っていた。

「彼女には相当、怪しまれたなぁ・・・」

もちろん、そんな事実はなかった。
それに、それを期待して携帯を持ったわけでもない。

「スマホを見てたら、ふと思い出しちゃって」
「全員、浮気予備軍に見える?」

思わず電車の中で、ふき出しそうになった。

「とにかく、昔々の話だよ」

携帯はいつしかスマホにとって代わられた。

「ふ~ん・・・」
「なんだよ?」

話の流れで、何らかの疑いの目を向けてきた。

「おいおい・・・浮気なんかしてないぞ!」
「冗談でしょ、冗談!」

何だか試されたようで気持ちが悪い。

「結論を言えば、その人の使い方次第でしょ?」

僕の場合、これで彼女と知り合うことができた。S822
(No.822完)
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