« [No.821-1]笑われる漢字 | トップページ | [No.822-1]携帯を持ったら »

[No.821-2]笑われる漢字

No.821-2

「あなたって、文学少女だったの?」
「まさか!見ての通りよ」

もう、何年も本らしい本を読んでいない。
別に嫌いじゃないけど、好んで読んだりはしない。

「世間ではそれを“本嫌い”っていうんじゃない?」
「・・・まぁまぁ、それはそれとして」

よからぬ方向に話が進む前に、さっさと話をしてしまおう。

「小さい頃、私も読めない漢字を聞きに行ったことがあって」

たいていの人は経験があると思う。

「・・・まぁ、私もそうね」

何の本だったかまでは、さすがに記憶はない。
ただ、児童書ではないことは確かだ。

「それで、この字なに?って聞いたの」
「そしたら・・・」

親にクスクスと笑われたのを今でも覚えている。

「・・・笑われた?」
「そんな愉快な漢字ってあったっけ?」

漢字自体に、ユーモアがあるわけじゃない。
それを聞きに行くから、笑われてしまう。

「えっーなになに!?早く教えなさいよ!」
「もう、答えは出てるよ」

数秒前に。
S821
(No.821完)
読み終えたら、クリックして頂けると、励みになります。
ブログランキングへ
 ブログランキングへ にほんブログ村 小説ブログ 短編小説へ web拍手 by FC2

| |

« [No.821-1]笑われる漢字 | トップページ | [No.822-1]携帯を持ったら »

(033)小説No.801~825」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: [No.821-2]笑われる漢字:

« [No.821-1]笑われる漢字 | トップページ | [No.822-1]携帯を持ったら »