[No.821-2]笑われる漢字
No.821-2
「あなたって、文学少女だったの?」
「まさか!見ての通りよ」
もう、何年も本らしい本を読んでいない。
別に嫌いじゃないけど、好んで読んだりはしない。
「世間ではそれを“本嫌い”っていうんじゃない?」
「・・・まぁまぁ、それはそれとして」
よからぬ方向に話が進む前に、さっさと話をしてしまおう。
「小さい頃、私も読めない漢字を聞きに行ったことがあって」
たいていの人は経験があると思う。
「・・・まぁ、私もそうね」
何の本だったかまでは、さすがに記憶はない。
ただ、児童書ではないことは確かだ。
「それで、この字なに?って聞いたの」
「そしたら・・・」
親にクスクスと笑われたのを今でも覚えている。
「・・・笑われた?」
「そんな愉快な漢字ってあったっけ?」
漢字自体に、ユーモアがあるわけじゃない。
それを聞きに行くから、笑われてしまう。
「えっーなになに!?早く教えなさいよ!」
「もう、答えは出てるよ」
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