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[No.819-2]T路地の恋

No.819-2

「理由?・・・見せ付けたいから?」
「ううん・・・その場所ってね」

その場所は、T路地になっている。
彼らは、その交差点にいる。

「それが?」

つまり、彼らはそこで二手に分かれて帰るはずだ。
一方は右に、一方は左に。

「・・・なるほど!」
「始めて見たときに、ピンと来たわ」

少しでも一緒に居たいがための行動だろう。
実際、私もそうだった。

「へぇ~そんなタイプには見えないけどね?」
「そんなタイプってどんなよ!?」

いずれにせよ、淡い思い出だ。
若さゆえの行動だったのかもしれない。

「で、その後、彼とは?」
「・・・私のこと!?」

上手く行っていれば、今でも独身のはずがない。

「見ての通りよ!」

とにかく彼らを見守って行きたい。

「今度、私も連れてってよ?」
「ぜっーたぁいぃー、いやぁー!!」

私が彼と上手く行かなかった理由はそこにあったからだ。
S819
(No.819完)
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