[No.816-2]痛かった?
No.816-2
「そうだけど、思い出さない?」
「・・・もしかして」
ここまで話せば、鈍感な友人でも思い出すはずだ。
「ちょっとやめてよ・・・恥ずかしい・・・」
予防接種の注射で大泣きしていた友人が重なる。
高学年になっても泣いていた記憶が残っている。
「私は一度も泣いたことがないわよ?」
少し自慢げに話した。
「鈍感だっただけでしょ?」
「う、うぅ・・・」
友人の逆襲に返す言葉を失った。
「冗談よ、冗談!」
「けど・・・私も思い出したんだけど」
ニヤけた表情に嫌な予感を覚えた。
「確かに泣いた姿を見たことはなかったわね」
「で、でしょ?」
私の記憶は正しかったようだ。
「でも・・・」
「あれは、みっともなかったわよ?」
“あれ”が何のことか見当が付かない。
「・・・何なのよ・・・“あれ”って?」
恐るおそる聞いてみた。
「誰かが終わるたびに・・・」
「“痛かった!?”と何度も聞いてたよね?」
(No.816完)
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