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[No.812-2]冬休み

No.812-2

「別に、なにもないわよ」

とは言うものの、なにかを隠している顔だ。
今までも何度か目にしたことがある。

「まさか・・・会社を辞めようとか?」

連休どころか、へたをすれば永遠に休みになってしまう。

「まぁ、その・・・そうじゃないんだけど」
「・・・じゃぁ、なに?・・・あっ・・・」

あることに気付いた。
もしかして、その永遠の休みと言うのは・・・。

「ま、ま、まさか・・・付き合っている人、居たの!?」

昨日のクリスマスイブは一緒に過ごした。
おまけに、今日も一緒に過ごす予定だ。

「もしかして・・・」
「一緒に過ごすのが最後だから付き合ってくれたの?」

振り返れば、5年以上はクリスマスを彼女と過ごしている。

「なんで?」
「だって、結婚を機に・・・」

そうなると私と過ごすわけにもいかないだろう。
そもそも、私と過ごしたいとも思わなくなる。

「ごめん、全然気付かなかった・・・」

同じ独身者同士だと思っていた。
ただ、裏切られたとは思っていない。

「・・・おめでとう」
「さっきからひとりで盛り上がってない?」

友人が呆れ顔で問い掛けてきた。

「休みを長めにとりたいんだけど、いいかな?」S812
(No.812完)
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