[No.812-1]冬休み
No.812-1
登場人物
女性=牽引役 女性=相手
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「もうすぐ、お正月休みよね?」
「・・・予定は?」
友人がさも自然な流れと言わんばかりに、嫌味を言ってきた。
「あなたと一緒よ」
私も嫌味で返した。
「あら、寂しいわね」
「あのね・・・」
それが自分のことでもあることを理解していないようだ。
「けどさぁ、働き出してからは連休が待ち遠しいよね」
「・・・」
どんな嫌味が含まれているのかと、つい身構えてしまった。
「・・・あぁ・・・まぁ、そうよね」
悪意がないことに気付くのに少し時間が掛かった。
「小学生の頃は、暇でしょうがなかったけどね」
「そうね・・・案外、することがなかったかも」
特に夏休みは、退屈だった。
「けど、高校生や大学生になると・・・」
「部活とかサークルとかで、普段と変わらなかったりする」
確かに言うとおりだろう。
私も、ほぼ毎日、学校に足を運んでいたような気がする。
「それはそれで充実してたけどさ」
「休みの有りがたさを分かってなかったのかも」
どうにも、いつもの友人らしくないセリフが続く。
「なにか・・・あった?」
友人でなくとも、年末になれば少しは神妙な気分になるからだ。
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