[No.809-2]雨女の皆様へ
No.809-2
「・・・だろうね」
「でも、その中でも誰が・・・」
あまり好ましくない方向に話が進みだした。
「・・・私じゃないわよ」
「私なんか、雨女の中でも下の下」
自分で言っておきながら、何の根拠もない。
ただ、少なくともそうであって欲しい。
「そうかな?」
「私としては、上の中くらいだと思ってるよ」
友人の話もまた根拠がない。
「・・・根拠がない?」
「ちゃんとあるわよ」
まぁ、話半分として聞いておこう。
「それで・・・その根拠は?」
どうせ、たいした根拠ではないだろう。
「実は私も雨女なのよ」
予期せぬカミングアウトだった。
「私も今みたいなこと、たくさん経験したわ」
聞けば、今の私と同じ立場だったらしい。
「けどね、あなたと知り合ってから・・・」
何となく結末が想像できる。
「雨が降るタイミングが・・・」
「あなたのタイミングに変わったの」
(No.809完)
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