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[No.806-2]ヘアピン

No.806-2

「小さい頃、これで耳かきしてもらってたんだよね」
「してもらってた?お母さんに?」

雰囲気が耳かきに似ていないこともない。

「あぁ」
「危なくない!?」

むしろその逆だ。
丸みを帯びているので、肌触りも悪くない。

「色々な意味で気持ちよくて」

耳かきの気持ちよさと、母のひざ枕の安心感。

「それが叶うことは、もうないけどな」
「・・・それって、私に求めてる?」

別に、そんな意味を含ませたわけじゃない。

「私なら別に構わないけど?」

今年を締めくくる、最高の出来事になりそうだ。

「じゃ、いくわよ」
「・・・い、い痛ぁぁぃぃ!!!」

先に、ヘアピンの“向き”を言うべきだった。
S806
(No.806完)
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