[No.799-2]犬の目線
No.799-2
「たまには散歩もいいでしょ?」
「まぁ・・・ね」
どちらかと言えば、いやいや散歩に付き合っていた。
「土日だけでもどう?」
「話をすりかえないの!」
本音を言えば、悪くない提案だ。
「気が向いたら、付き合ってあげるわ」
「そうこなくっちゃ!」
目線が変わると、聞こえてくる音さえ変わる気がした。
風の音や川のせせらぎさえ、聞こえてきそうだ。
「小さい頃は、いつもこんな目線だったよね」
もっと草花が身近に感じられた。
そこで暮らす生き物たちも。
「それに、色んなものを拾ったり・・・」
私の場合、きれいな石を見つけては宝物にした。
「そうそう!何か落ちていないかな・・・」
昔を思い出して、辺りをゴソゴソしてみた。
ぬるっとした感触が手に伝わる。
| 固定リンク | 0
「(032)小説No.776~800」カテゴリの記事
- [No.800-2]僕のポジション(2017.11.08)
- [No.800-1]僕のポジション(2017.11.07)
- [No.799-2]犬の目線(2017.11.05)
- [No.799-1]犬の目線(2017.11.04)
- [No.798-2]210円の切符(2017.11.01)
コメント