[No.796-2]上には上がいる
No.796-2
「・・・悲劇?」
「あぁ・・・」
僕の速さは、陸上部では“普通以下”だった。
ハッキリ言えば、一番遅い。
「これくらいなら、まだいいけど・・・」
本当の悲劇はこの先にあった。
「地区の大会に出た時なんて・・・」
それこそ、全員の中でも一番遅かったかもしれない。
予選落ちどころか、本来なら予選すら出れるレベルじゃない。
「厳しい世界ね・・・」
「あぁ、自分の実力を痛感したよ」
世の中、上には上がいる。
自分が一番上なんて、よく考えなくてもあるはずがない。
「クラブ活動は続けたの?」
「あぁ・・・それでもちゃんと3年間続けたよ」
大きな成果は出なかったけど、それなりに速くはなった。
「世の中、誰もがそうじゃない?」
「・・・そうかもな」
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