[No.793-2]一本の糸
No.793-2
「多分、手紙だったと思う」
「・・・手紙?」
とは言え、本格的な手紙ではない。
「ほら、友達同士で回すアレよ」
「・・・あぁ、アレね!」
でも、ひとつ疑問が残る。
手紙だとしても、彼にどうやって渡していたのだろう。
郵送していないことは確かだ。
「私、ちょっと思い出したんだけど・・・」
友人が何やら話しはじめた。
「最初の1通は、何らかの方法で渡して」
「その後の約束は手紙に書いてあったと思う・・・」
私も思い出してきた。
「そう言えば、そうやって会う日を決めたかもしれない」
曜日や時間、場所さえも・・・。
「私もそうかもしれない」
「その時に、また手紙を渡して・・・」
そして、次の約束を確認する。
私達にとって手紙は、いつ切れるとも限らない一本の糸だった。
(No.793完)
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