[No.789-2]今でも変わらない
No.789-2
「それより、将来の夢を読んでみてよ」
「えっ・・・と、“大きくなったら・・・”」
そこには“えかきさん”つまり、画家になりたいと書いてあった。
ただ、それは僕の夢ということになっている。
「なんで、君のカードに僕のことが書いてあるんだよ!?」
彼女のことは何も書いていない。
「夢が・・・なかったの?」
「失礼ね!ちゃんとあったわよ」
昔のこととは言え、意味が分からなくなってきた。
「はい・・・私の夢はこれ」
「えっ!?」
もう一枚、同じようなカードを渡された。
「これが私の」
「・・・私の?」
ようやく話が見えてきた。
「最初のカードは、僕の!?」
「“私のカード”って、ひとことも言ってなかったよね?」
今で言う“塩対応”も昔のままだ。
「今度は夢を読んでみてよ」
渋々、読んでみる。
「“およめさんになりたい”か・・・女の子らしいな」
それも僕のお嫁さんに・・・子供の頃のどこにでもある話だ。
「ところで今は何になりたいの?」
「今でも変わってないわよ」
(No.789完)
読み終えたら、クリックして頂けると、励みになります。
| 固定リンク | 0
「(032)小説No.776~800」カテゴリの記事
- [No.800-2]僕のポジション(2017.11.08)
- [No.800-1]僕のポジション(2017.11.07)
- [No.799-2]犬の目線(2017.11.05)
- [No.799-1]犬の目線(2017.11.04)
- [No.798-2]210円の切符(2017.11.01)
コメント