[No.781-2]来年の夏も
No.781-2
一匹のもんしろちょうがユラユラと飛んでいる。
ただ・・・。
「ねぇ・・・」
「・・・うん、わかってる」
まるで私たちの歩調に合わせるかのような動きだ。
つかず離れずという言葉が似合う。
「偶然だよね?」
友人があえて同調を求めてくる。
「そりゃそうでしょ!?」
場所が場所だけに、そんなことも考えてしまう。
「けどさぁ・・・去年は・・・」
供えた花に一匹のミツバチらしきものが寄ってきた。
“美味しそうな花”は至るところに咲いているというのに。
「そうよね・・・わざわざ、私たちの花だけに」
その時はさほど気にはしていなかった。
けど、似たようなことが続くと・・・考えてしまう。
「今年は“もんしろちょう”に姿を変えて?」
「・・・かもしれないね」
そうこう話している内に、いつの間にかもんしろちょうは消えていた。
「また・・・来るからね」
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