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[No.781-1]来年の夏も

No.781-1

登場人物
女性=牽引役  女性=相手
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「また来年も来るからね!」

若干、場違いな声の大きさだったかもしれない。
周りの人が一斉に私の方に振り向いたからだ。

「す、すみません・・・」
「・・・もう!相変わらずなんだから」
「つい・・・」

とは言え、必要以上に静かにしているのもおかしい。
むしろ、うるさいくらいが丁度良いと思う。

「じゃっ、帰ろうか?」
「うん」

一応、最後だけは神妙なおももちで、その場を後にした。

「もう・・・10年か・・・」

友人がボソッとつぶやいた。

「・・・そうね」

あっと言う間の10年だった。

「来年は11年目だね」
「再来年は・・・」

友人がごく当たり前のことを言い始めた。

「・・・だね」

私もそれに素直に応じた。
不思議とそんな気分だった。

「もんしろちょうが飛んでるね」

何の脈略もなく、見たままを言い放った。

(No.781-2へ続く)

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