[No.780-1]大切なのは
No.780-1
登場人物
女性=牽引役 男性=相手
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さっきから彼が対面する女性を見つめている。
「そんなに魅力的?」
「・・・なんのこと?」
一応、“キョトン”とした顔を見せてきた。
「なんのことって・・・」
電車の中とは言え、聞こえるとまずい。
行儀は悪いが、“あご”で場所を指し示した。
「なになに!?」
余計、困惑させてしまったかもしれない。
「目の・・・前の・・・女性・・・凝視・・・してたでしょ?」
彼の耳元でささやいた。
これくらいなら、電車の音に十分かき消される。
「なんだ・・・あぁ、見てたよ」
全く悪びれた様子もなく、堂々としている。
「ちょっと、何よ!その態度・・・」
普通なら慌てふためいて、言い訳するはずだ。
「態度って・・・ただ、見てただけだろ?」
そんなことは、せめて私と一緒じゃない時にして欲しい。
「よく平然と言えるわね?」
“申し訳ない”感が微塵も感じられなかった。
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