[No.777-1]ライバル出現
No.777-1
登場人物
女性=牽引役 男性=相手
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「・・・嫌いだっけ?」
彼が切り分けた桃にフォークを刺したまま動かない。
「ん・・・なに?」
“心ここにあらず”とは、まさしくこんな状況を言うのだろう。
「桃、嫌いなの?」
「まさか!嫌いどころか大好きだよ!」
嫌いな果物はないと聞いていた。
「それなら、どうして箸が・・・じゃなくてフォークが進まないの?」
「あっ・・・ごめん」
そう言うと、桃を一口ほおばった。
「美味しいな!」
「答えになってないけど?」
気になったので話を戻してみた。
「・・・俺の家族って、5人じゃない?」
彼がおもむろに口を開いた。
「分かってるよ」
とは言え、彼の兄弟とは、まだそんなに親しくはない。
これから・・・といった感じだ。
「でね、果物を家族で食べる時・・・」
当然、ひとりひとりの取り分が少なくなる・・・。
彼がそんなことをしゃべり始めた。
「桃なんかさぁ・・・」
「ひとりで一個・・・なんてなかったから」
そう言うと、もうひとつ桃を口に運んだ。
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