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[No.773-1]思い出の品

No.773-1

登場人物
男性=牽引役  女性=相手
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壁に、いい感じの段差があった。

「それって、今で言う“おひとり様”?」
「まぁ・・・そうだね」

向かいの壁にボールを投げる。
その跳ね返ってきたボールをキャッチする。
ひとり遊びの定番だった。

「壁に段差があって」
「そこに当たると、色んな角度で戻ってくるんだよね」

“フライ”もあれば、“ゴロ”もある。
変化に富んだ動きが、子供心を刺激した。

「へぇ~なんだか面白そうね!」
「例えば・・・ほら!あんな壁とか」

理想的な壁だ・・・1cm程度の段差がある。

「確かにこれなら、どんな動きをするか読めないわね」
「だろ?」

日が暮れるまで夢中で遊んだ。

「何で今頃、思い出したの?」
「先日、実家に帰った時・・・」

物置を片付けている時に、ボールを見つけた。
見るからに古いものだった。

(No.773-2へ続く)

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