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2017年7月

[No.776-2]時間の翼

No.776-2

「エッチな話題に興味シンシンだったわ」

丁度、思春期と重なり、ラジオに釘付けになっていた。

「今、振り返ると笑っちゃうけどね」
「・・・私も」

それでも、さすがに1時近くなると“ヤバイ”と感じていた。
踏み入れてはいけない領域だと・・・。

「わかるわかる!」
「それが今じゃ・・・」

2時でもかわいい方だ。
“勉強”以外なら、世が明けることも少なくはない。

「えぇ~それって・・・」

友人がニヤついている。

「あっ!ち、ちがうわよ」

まるで中学生の頃の青臭い会話だ。

「冗談よ、冗談!いつも付き合ってくれて、ありがとうね」
「・・・もぉ!」

ほんの1週間前も、それで世が明けた。

「まぁ、夜更かしは大人になった証拠じゃない?」

加えて、夜更かしする“目的”も大人になっている。
S776
(No.776完)
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[No.776-1]時間の翼

No.776-1

登場人物
女性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
「・・・眠そうな顔ね?」
「あっ・・・うん・・・」

もうすぐ、試験がある。
それに向けて、深夜まで猛勉強中だ。

「気付いたら・・・」

2時を過ぎていた。

「そんな遅くまで!?」

でも、普段もこれくらいの時間まで起きていることは多々ある。
むしろ、遅くまで起きている方が普通だ。

「今は、“次の日”になることが、当たり前なんだよね」
「どういう意味?」

小学生の頃は、遅くとも11時までには寝ていた。

「私も・・・それくらいかな」
「ほら、その時間帯くらいから・・・・」

その昔は、その時間帯から“大人な番組”が始まる。
だから、半ば強制的に寝かされていたとも言える。

「で、中学生になったら」
「・・・ラジオでしょ!?」

テレビより、ラジオに夢中になった。
11時どころか、12時の壁を越え始めたのはこの頃だった。

(No.776-2へ続く)

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ホタル通信 No.327

小説の舞台裏やエピソード、作者の想いを紹介します。

小説名:No.270 成長
実話度:★★☆☆☆(40%)
語り手:男性

朝の通勤や通学時の出会いを描いた、冬のホタルではお馴染みのパターンの小説です。

今回の小説は、いつもすれ違っていた女の子の制服が変わったことで印象が変わり、違和感を感じたところから小説が始まります。
単に私服ならそこまで違和感を感じなかったかもしれませんね。
制服と言えども最近はオシャレになり、個性が強いものも少なくありません。そのため、知らず知らずのうちに、顔と制服をワンセットで覚えてしまっていたせいかもしれません。
制服が変わったことで、その女の子が高校生になったことを知る。
これをストレートに“成長”というタイトルを付け、小説にしました。

小説の終わりの方にも書いていますが、“会わなくなった人”も居ました。
成長とは、単にひとつ歳を重ねる・・・ということだけではなく、それによって、人生そのものが変わってしまうこともあることを意味しています。ちょっと大袈裟ですが。

ラストは少しコミカルに仕上げました。
見た感じは、全然そんな感じには見えないと思いますが、成長について、あれやこれや話す同僚もひとつ歳を重ねたんだよ・・・と、締めくくってみました。
T327
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[No.775-2]私は代表者

No.775-2

「午後から練習だって」

私としては、現場に申し訳ない気持ちがある。
毎日遅くまで仕事している人のことを考えると・・・。

「だから、冷めてるの?」

当然、現場も私と同じ気持ちだと思っていた。
ところが・・・。

「・・・みんな、応援モードでさ」
「冷めていたのは、私を含めて、わずかな人だけ」

私としては“現場の代表”のつもりでいた。
現場に代わって物申す、ちょっとしたヒーローを気取っていた。

「その時、気付いたんだ」
「なんて私は心が貧しい人間かと・・・」

その自己嫌悪たるもの・・・最悪だった。

「それに、みんなも“きっとそうだ”なんて・・・」

勝手に他人を巻き込み、その代表者のようなつもりでいた。

「私だって、決して“ゼロ”じゃない」
「ただ、同じ会社の仲間じゃん!」

それにサボっているどころか、会社に貢献している。
会社の知名度も信じられないくらい上がってきた。

「だから、一緒に応援しようよ」
「うん・・・そのつもり」

勝っても負けても、精一杯応援したい。
S775
(No.775完)
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[No.775-1]私は代表者

No.775-1

登場人物
女性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
「ハァ・・・・」

自己嫌悪に陥ったことは何度もある。
けど、今回ほどは酷くはなかった。

「どうしたの?さえないため息ね」

普通、ため息は“さえない”時に出る。
そう言い返したいけど、そんな気にすらならない。

「まぁ・・・ね」
「今日は特に重傷じゃない?」

それは当たっている。

「彼が居ないから、ふられたわけでもなさそうだし・・・」

いちいち気にさわることを言う。
早めに理由を話したほうがよさそうだ。

「・・・さん、知ってる?」
「もちろん!今、旬の人じゃない!?」

会社に、サークル程度のテニス部がある。
そのテニス部の人が、全国大会に出場することになった。

「凄いよね!」

創立以来の出来事に、会社をあげて応援することになった。
でも、個人的にはどうしても応援する気にはならなかった。

「どうして?」

現場は、一年で一番忙しい時期に突入している。
猫の手どころか、“何の手”でも借りたいほどに。

「それはそうだけど・・・」

会社も前面的に、バックアップすることになった。

(No.775-2へ続く)

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[No.774-2]ひまわりとセミ

No.774-2

「ほら、見てん・・・」
「・・・セミだよね?」

多分、死んでいる。
ひっくり返ったような体勢で、ピクリとも動かないからだ。

「まだ、夏が始まったばかりやのに」

対照的だった。
どちらも、夏の代表的な風物詩だ。

「ひまわりはいきいきしてるのにな」

一方、セミはその短い生涯を終えた。

「悲しいね」

そう言うと、拝むかのように手を合わせた。
つい、僕もそれにつられる。

「これでよし!」

そう言うとその場から立ち上がり、ひまわりを見つめる。

「セミの分も生きなあかんで!」

ひまわりの茎を小突いた。

「・・・だよな!」

彼女は、かつてそのセミだった。
けど、今はひまわりとして生きようとしている。
S774
(No.774完)
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[No.774-1]ひまわりとセミ

No.774-1

登場人物
男性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
「いきいきしてるやん!」

通りすがりの道端に、ひまわりが植えられていた。
皆、太陽を見つめるかのように咲いている。

「黄色がまぶしいな」
「せやね」

まるで黄色のお手本のような色鮮やかさだ。
虫じゃなくても、つい近寄りたくなる。

「これなんか、うちより背が高いやん・・・」

そういうと、その場で軽くジャンプをした。

「それでも、負けてるし!」
「・・・だな」

よほど悔しかったのか、そのひまわりに“ガン”を飛ばす。

「まぁ、ゆるしてあげたら?」
「せやね・・・」

そう言うと、葉っぱに手をかけた。

「なにしてるの?」
「仲直りの握手!」

この際、手ではないことは気にしないでおこう。

「・・・あれ?」
「どうした?」

急にその場にしゃがみこんだ。

(No.774-2へ続く)

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ホタル通信 No.326

小説の舞台裏やエピソード、作者の想いを紹介します。

小説名:No.262 解けた氷
実話度:★★★☆☆(60%)
語り手:男性

彼女は、実際には私の直接の部下ではなく、ある仕事を通じての部下というポジションでした。

彼女と仕事をするようになった当初の印象は最悪でした。単に事務的ということではなく、小説にも書いた通り、一言で言えば不信感があらわになっていました。
ただ、その理由を聞けなかったため、仕事を通じて信頼関係を築こうと考えました。そのため、彼女がどんな仕事をしているか、まずは彼女に興味を持つことから始めました。
仕事知ると共通の話題が生まれる・・・これ自体も彼女にとっては嬉しかったと思います。

私自身も彼女の仕事に精通しだすと、彼女のミスや仕事の改善点も目に付くようになりました。
普通なら小さなミスを指摘する「ウザイ上司」になりそうなのですが、彼女にとっては、仕事のやりがいに変わったような気がしています。
ある日、本人が「仕事をキチンと見てくれているから身が引き締まる」みたいなことを言ってくれた記憶があります。
今までは良くも悪くも野放しだったわけですから、普通なら嫌がられる指摘でも、彼女はこころよく受け止めてくれました。

彼女とのそんな関係を氷に例えました。でも、二人の間にあった氷の壁が解けたからではなく、それほど彼女の心が冷たく閉ざされてい・・・と考えていただく方がいいでしょうね。
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[No.773-2]思い出の品

No.773-2

「小さい頃に遊んだボールなの?」
「多分な・・・」

遊んだ記憶はあっても、そのボールだったかは覚えてない。
ただ、わずかながらその痕跡が残っていた。

「痕跡?」
「あぁ、とっても分かりやすい痕跡が・・・ね」

マジックで書かれたであろう文字がうっすらと残っていた。
たった一文字だけ。

「それって・・・」
「思ってる通りだよ」

そこには僕の名前が書かれていたのだろう。
最初の一文字だけが何とか読み取れた。

「昔はそんな習慣があったよね」

そのお陰で、捨てられずに済んだのかもしれない。

「両親に感謝ね!」
「で・・・そのボールは?」

持ってこようかとも考えた。
けど、そのまま物置に置いてきた。

「せっかくの思い出の品じゃん?」
「だからこそ、置いてきたんだよ」

もちろん、僕にとっての思い出の品だ。
でも、それは同時に両親の思い出の品でもある。
S773
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[No.773-1]思い出の品

No.773-1

登場人物
男性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
壁に、いい感じの段差があった。

「それって、今で言う“おひとり様”?」
「まぁ・・・そうだね」

向かいの壁にボールを投げる。
その跳ね返ってきたボールをキャッチする。
ひとり遊びの定番だった。

「壁に段差があって」
「そこに当たると、色んな角度で戻ってくるんだよね」

“フライ”もあれば、“ゴロ”もある。
変化に富んだ動きが、子供心を刺激した。

「へぇ~なんだか面白そうね!」
「例えば・・・ほら!あんな壁とか」

理想的な壁だ・・・1cm程度の段差がある。

「確かにこれなら、どんな動きをするか読めないわね」
「だろ?」

日が暮れるまで夢中で遊んだ。

「何で今頃、思い出したの?」
「先日、実家に帰った時・・・」

物置を片付けている時に、ボールを見つけた。
見るからに古いものだった。

(No.773-2へ続く)

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[No.772-2]仕事終わりの・・・

No.772-2

「・・・楽しみ?」

札幌からだと空路を使うしかない。

「まさか、飛行機に乗るのが楽し・・・」
「子供じゃあるまいし・・・違うわよ」

その楽しみは、最後の最後に訪れる。

「最後に・・・?」
「そう!東京を離れる最後にね」

商談が上手くいったとしても、いかなかったとしても・・・だ。
それは東京出張における一種のルーティンとも言える。

「・・・ということは空港だよね」
「そういうこと!」

緊張の糸が切れ、良くも悪くも身軽になる。
半面、いろいろな意味で喉の渇きもある。

「それって、もしかして・・・」

同僚が右手を“グー”の形にして、“クイッ”とそれを上に動かした。

「あったりぃ~!」

普段は付き合い程度しか飲まない。
飲めないわけではなく、飲みたい気分にならないからだ。

「でも、その時だけは無性に飲みたくなるのよね」

自分を自分で労っている・・・そんな感じだ。
仕事終わりのビールとシュウマイで。
S772
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[No.772-1]仕事終わりの・・・

No.772-1

登場人物
女性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
「クゥ~きくねぇ・・・」

思わず声が漏れた瞬間、周りの男性の視線が集中した。

「昨日はお疲れ~!」

同僚が開口一番、労いの言葉をかけてくれた。

「うまくいった?」
「もちろん!」

商談のために、昨日、東京に出張していた。

「けど、いいわよね~」
「またその話・・・」

いつも東京への出張を羨ましがる。

「遊びに行ってるわけじゃないんだから・・・」
「でも、話題の店とかには行ったんでしょ?」
「あのね・・・」

全くその気がないわけじゃない。
けど、時間があるようでないのが現実だ。

「えっ!?そうなの・・・つまんない」

話題の店どころか、食事さえままならない。
大切な商談の前は、いつもそんな感じだ。

「あら・・・案外大変なのね」

そんな中でも、密かな楽しみを持っている。

(No.772-2へ続く)

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ホタル通信 No.325

小説の舞台裏やエピソード、作者の想いを紹介します。

小説名:No.247 BGM
実話度:☆☆☆☆☆(00%)
語り手:女性

前回のホタル通信と同じように、なんとも言い難い微妙な小説ですね。何かを狙って作っている感が、ありありです。

ハッキリとは覚えていませんが、BGMではなく、好きな曲をセレクトしている・・・が小説のきっかけだったと思います。これを軸に話を進めていると、BGMの流れになった気がしています。
好きな曲を集めても、日によって聞きたい曲が変わる・・・言い換えると、今の自分に必要なBGMは毎日はもちろん、その瞬間ごとに違うということです。
分かりやすい例では、失恋した時に聞く曲は、涙が枯れるまで泣かせてくれる曲か、逆に励ましてくれる曲が一般的でしょう。

朋子の耳に押し付けたヘッドホンから聞こえる曲を、朋子は「失恋の曲」と判断します。これが伏線となってラストに繋がります。
朋子が意中の人にふられることを想定して、失恋の曲を聞かせたような終わり方をさせています。
ただ、悪意があってそうしたのではなく、あくまでもジョークとしてです。
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[No.771-2]エチケットブラシ

No.771-2

「特に男子なんてさぁ」

女子以上に気にしていた。

「分かる分かる!」
「ほんと色気づいちゃって」

もちろん、女子だって色気づいてはいた。
けど、女子はもっと前からだ。

「暇さえあれば、ブラシでゴシゴシ・・・」

一体、何を期待しているのかと思うくらいだ。

「あれで、もてるとでも思ってたのかしら・・・」
「当時はそれがオシャレのひとつだったんじゃない?」

今、振り返れば可愛いと言うか・・・。

「けどさぁ、それはそれで懐かしいよね」

丁度、異性を意識し始めた時期でもある。
男子の行動は、良くも悪くも刺激にはなった。

「中学生の時、彼氏は?」
「居るわけないでしょ!?」

居るほうが珍しかった時代だ。

「まぁ、私もだけど・・・」

そんな男子達を冷ややかな目で見ていた。
けど、その中の一人だけは違っていた。
S771
(No.771完)
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[No.771-1]エチケットブラシ

No.771-1

登場人物
女性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
懐かしいものを目にした。
もしかしたら、中学生以来かもしれない。

「エチケットブラシ!?」
「そう!久しぶりに見たよ」

ぼんやりとネットを見ていた時、それが目に入ってきた。

「懐かしいね~」

今でも現役で売られている。
だから、レトロな商品というわけではない。
むしろ、進化しているようだった。

「よく使ってたよ」
「私も」

学生服の素材の影響もあるだろう。
とにかく、小さなホコリが付着する。

「気になるよね~」
「そうそう!一度、気になり始めたら・・・」

とことん取らないと気が済まなくなる。

「でも・・・」
「思うほど取れないでしょ?」

効果がないわけじゃない。
けど、すっきりするほど綺麗には取れない。

(No.771-2へ続く)

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[No.770-2]誰のせい?

No.770-2

「昨日は、朝からデートだと知ってたでしょ?」
「あぁ、あれだけ何度も聞かされれば」

僕達は恋人同士ではない。
単に“似た者同士”の友人に過ぎない。

「わざと?」
「えっ!?ま、まさか・・・」

デートを台無しにしようと考えたと思っている。

「せめて、昨日は家に居てくれなきゃ・・・」
「ハァ・・・」

反論したくてもできない自分がいる。
自分の“雨男力”を知っているからだ。

「初デートだったのにぃ!」
「ご、ごめん」

確かに、何度も不安定な空を刺激したことがある。

「買ったばかりのワンピースも・・・」

最後まで聞かずとも分かる。

「昨日は午後から出掛ける用事があったので・・・」

なぜだか、申し訳なくしゃべってしまった。

「えっ!?午後から・・・」
S770
(No.770完)
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[No.770-1]誰のせい?

No.770-1

登場人物
男性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
「・・・最近どう?」
「微妙・・・だな」

何の前触れもない話でも通じ合えている。

「梅雨時期だからな」
「それもそうね」

自分は雨男だと自覚している。
科学的根拠はないが、実績がそれを物語っている。

「君は?」
「私も似たようなものよ」

それでも、梅雨に“貢献”している可能性は否定できない。
昨日も、大雨の上を行く、土砂降りの雨に変えた。

「それって微妙どころか、ストライクでしょ?」
「でも、もともと不安定な空だったろ?」

青空を土砂降りの雨に変えたのなら、そうかもしれないが。

「だから、昨日は梅雨のせいだよ」
「・・・そうなのかな」

あくまで僕を犯人にしたいらしい。

「おいおい・・・梅雨も僕のせいにするつもりか?」
「そうじゃないけど・・・」

なんとも歯切れの悪い口ぶりだった。

(No.770-2へ続く)

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