[No.769-2]掴んで引き寄せて
No.769-2
「そう言えばさぁ・・・」
友人がなにかを思い出したかのように話し始めた。
「恋愛も同じパターンよね」
「・・・恋愛?」
指折り数えて・・・というほど恋愛経験はない。
あったとしても、99%は苦い経験だ。
「ほら、いつも先を越されてたじゃん」
なぜか、他の人が先に告白をしてしまう。
「恋愛は、間一髪・・・“間に合わなかった”ほうだけど」
「よく覚えてるわね!?」
言い終わった後に、私もあることを思い出した。
「“他の人”には、あなたも含まれていたよね?」
「えっ!?そ、そうだったかしら・・・まぁ、この話はこのへんで・・・」
友人が強引に話を終わらせようとしている。
自分で話を振っておいて。
「“このへんで”じゃないわよ・・・全く」
当時はふたりの友情に大きなヒビが入った。
「まぁまぁ、付き合えなかったんだから無罪でしょ?」
告白したものの振られた。
だから、それ以上、ヒビは大きくならずにすんだ。
「今日こそは、掴んで引き寄せてみせるわ!」
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