[No.768-2]きっと届いてる
No.768-2
その気になれば、周りの人に聞くこともできた。
でも、あえてしなかった。
「誰にでも必ず巡ってくることよ」
「僕にも?」
彼女が大きくうなづいた。
やはり、僕が考えていた通りのようだ。
「ごめんね・・・隠すつもりはなかったんだけど」
「言うのも・・・ね」
気持ちは分かる。
進んで他人に話すようなことでもない。
「構わないさ」
「そんな気がおきないよな」
土日を挟んで数日間、会社を休んでいたことも知っていた。
だからこその結論だった。
「落ち着いた?」
「うん・・・もう、1ヶ月が過ぎたからね」
確かにいつもの彼女に戻りつつあった。
「じゃぁ、またスタンプでも」
「うん!今まで送らなかった分、まとめて送るからね!」
いつも通り、スタンプが飛んでくるようになった。
“ありがとう”のスタンプがやけに目立つ。
「きっと届いてるよ」
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