[No.767-2]彼の背中
No.767-2
「それだけで、責任感と言うか・・・」
「集団下校“あるある”だよ、それ」
いっぱしのリーダー気取りだったのかもしれない。
けど、それなりの行動はしたつもりだ。
「ある意味、これも教育だよね」
「あぁ、大切なことだと思う」
6年生の背中を見て育ち、それを受け継いだ。
「どうだった?」
「えっ!?なにが・・・?」
彼が唐突に何かを質問してきた。
「なにがって・・・背中だよ、俺の背中!」
「背中が・・・どうしたの?」
分かっているけど、とぼけてみた。
「見てただろ?当時!」
「・・・あぁ、その背中ねぇ~」
私が1年生の時、彼は6年生だった。
「別に・・・たいした背中じゃなかったわよ」
「そうなの!?」
本当は頼りになるお兄ちゃんだった。
その背中で私達を守ってくれた。
「じゃぁ、逆に私は?」
「小さ過ぎて、どこにいるかわかんなかったぞ」
「もう!失礼ね!」
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