[No.766-2]目やに
No.766-2
「そ、それなら、仕方ないわね」
「聞かないの?」
“予期せぬ出来事”なんて、追及の格好の的だ。
それが事実でも事実ではなかったとしても。
「なにを?」
「なにをって・・・“予期せぬ出来事”だよ」
多少なりともそこに弁明の余地がある。
ただ、それを認めてくれるかどうかは彼女次第だ。
「別に聞いたって仕方ないでしょ?」
「仕方なくはないよ」
僕としては出来れば聞いて欲しい。
「・・・もう、いいから、行くわよ」
意味も分からず許されるのも、これまた気持ちが悪い。
「さっきまであんなに怒ってただろ?」
なんだか、立場が逆転してきた。
「気が変わったの!」
シャツを捲り上げられたところから、様子が一変した。
一応、捲り上げたシャツを確認してみる。
(・・・別に変わったところはないよな?)
唯一、猫にじゃれつかれて、抜け毛がそれなりに付いている。
これが遅刻の原因でもある。
「もしかして・・・これ?」
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