[No.766-1]目やに
No.766-1
登場人物男性=牽引役
女性=相手
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「お前・・・すごい“目やに”だな」
持っていたポケットティッシュで、そっと目の周りをぬぐった。
「・・・ごめん・・・怒ってる・・・よね?」
1時間の遅刻だ。
「あなただったらどうなの?」
怖いくらい冷静な対応だ。
「普通、お、怒るよね・・・」
「待ち合わせの時間、何時だっけ?」
ジワジワ攻めてくる。
「え・・・っと、10時かな・・・」
「・・・かな?」
「いえ!10時です!」
一言一句、裁かれているような感じがする。
「今、何時だっけ?」
僕の腕を掴み、長袖のシャツを捲り上げた。
「どう?これで良く見える?」
嫌味っぽく、腕時計を露出させた。
必要以上によく見える。
「ごめん!予期せぬ出来事があって・・・」
「なによ、そのよき・・せぬ・・・で・・・」
最後まで言い切る前に、なぜだかトーンが下がって行った。
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