[No.765-1]消えてしまいたい~風~
No.765-1 [No.608]消えてしまいたい
登場人物
男性=牽引役 女性=相手
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「・・・私の場合?」
「あぁ、一番理解できる立場だと思って・・・」
唐突にあることを聞きたくなった。
無責任だけど、周りの雰囲気が僕をそうさせた。
「そうね・・・」
しばらく沈黙が続く。
この沈黙の長さが、心のキズの深さでもある。
「私の場合はね・・・」
「・・・私の場合だからね!」
それは理解しているつもりだ。
皆が同じ考えだとは思っていない。
「ただ、消えてしまいたいだけ・・・」
「でも、死ぬことじゃない」
彼女はつらい子供時代を過ごした。
彼女の居場所はどこにもなかった。
「私は居たいの、この世界に」
「けど、誰にも気付いて欲しくない」
人の目に怯えて暮らしてきた。
クラスメート、そして・・・親までも。
「まぁ・・・私の場合はねっ!」
明るく締めくくるのが、彼女らしい。
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