[No.764-2]やさしい人
No.764-2
「とにかく、気をつけてね」
普段なら、とことん追及されるところだ。
今回は、多少オーバーな演技が功を奏したようだ。
「ところで君も自転車だろ?」
「気をつけろよ」
最近、自転車の事故も増えている。
「そうね」
「あなたみたいにならないように気をつけるわ」
そんな会話から、1週間が過ぎた時だった。
「まさか・・・」
「その、“ま・さ・か”よ」
僕と同じように、自転車で転倒したらしい。
「なんでまた!?」
「石ころ?」
1週間前と同じ展開だった。
「ううん・・・そうじゃないんだけど」
聞き覚えのあるセリフだった。
「じゃぁ、なに?」
「そのぉ・・・ハンドル操作を誤ったの」
展開が同じだ。
僕の場合は、“アレ”が目の前を横断していた。
それを避けようとして・・・。
| 固定リンク | 0
「(031)小説No.751~775」カテゴリの記事
- [No.775-2]私は代表者(2017.07.26)
- [No.775-1]私は代表者(2017.07.25)
- [No.774-2]ひまわりとセミ(2017.07.23)
- [No.774-1]ひまわりとセミ(2017.07.22)
- [No.773-2]思い出の品(2017.07.20)
コメント