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[No.761-1]いちじくの木

No.761-1

登場人物
男性=牽引役  女性=相手
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「ねぇ・・・この匂い知ってる?」

さっきから少し気にはなっていた。

「いや・・・ごめん・・・知らない」

嫌な匂いではないものの、良い香りでもない。
どこか青臭くて青臭くないような・・・。

「いちじくの匂い・・・」
「正しくは葉っぱの匂いかな?」

そういうと、目線の先にある一本の木を指差した。

「・・・あれがそう?」
「そうよ」

いじちく自体は知っている。
スーパーに行けば見掛けることもある。

「知らなかったよ」

“子”は知ってても“親”は知らなかった。

「私の実家の近くにたくさん植えられてて」

この匂いを嗅ぐたびに、実家を思い出すと言う。

「特に子供の頃をね」

うっそうと茂るいちじくの木は、格好の遊び場だったようだ。

「そんなやんちゃだったようには見えないけどな」

見た目は文学少女風だ。

(No.761-2へ続く)

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