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2017年5月

ホタル通信 No.320

小説の舞台裏やエピソード、作者の想いを紹介します。

小説名:No.354 わらしべ長者
実話度:★★★☆☆(60%)
語り手:女性

なんだか散らかった感がある小説ですね。自分で言うのも変ですが、イマイチ焦点が絞り込まれていません。

ニュースをきっかけにして、卒業した高校のホームペ-ジに辿りつく部分はほぼ実話です。そんなつもりではなかったのですが、気付いたら辿りついていました。
ひとつのきっかけから、次々と連鎖するように事が進んでいく様が印象に残りました。これをタイトルにしようと考えた時、意味は違いますが、多少インパクトがある“わらしべ長者”に決めました。

さて、冒頭に記載した“イマイチ焦点が”よりもこの小説には問題があります。
小説を作った時には、ラストの「実は続きがあるんだ、この話に」に本当に続きがあったと記憶しているのですが、それが何であったか思い出すことができません。ホタル通信が小説の舞台裏や秘めたる部分を、さらけ出す目的があるのに本当にすみません。

今はグーグルマップのお陰で、その場に行かずとも写真で雰囲気が楽しめます。時々、空の上から実家を眺めたり、以前住んでいた街を眺めたりしています。
「あの場所はどうなってるかな?」と、変わっていなくとも変わっていたとしても、それはそれで受け止めよう・・・そんな気持ちになります、大袈裟ですが。
T320
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[No.761-2]いちじくの木

No.761-2

決して、アウトドア派とは思えない。

「そう?案外、“やんちゃ”なのよ、私」

その言葉に、ドキッとした。

「そ、そうなの!?」

別にやんちゃな人が嫌いなわけじゃない。
ただ、できれば・・・。

「突然のカミングアウトに驚いた?」
「ま、まぁ・・・な」

彼女と付き合いだして、日が浅い。
今なら引き返せる。

「失敗したと思ってるでしょ?」
「ま、まさかぁ・・・」

当たらなくも外れてはいない。
それにしても意外な方向へ展開し始めた。

「いちじくの匂いって・・・」
「狼男でいうところの“月”みたいなものね」

分かるような分からないような例えだ。

「・・・ようは変貌するってこと?」
「かもね」

でも、不思議と嫌な感じはしない。
逆に彼女との距離が縮まったような気がする。
S761
(No.761完)
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[No.761-1]いちじくの木

No.761-1

登場人物
男性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
「ねぇ・・・この匂い知ってる?」

さっきから少し気にはなっていた。

「いや・・・ごめん・・・知らない」

嫌な匂いではないものの、良い香りでもない。
どこか青臭くて青臭くないような・・・。

「いちじくの匂い・・・」
「正しくは葉っぱの匂いかな?」

そういうと、目線の先にある一本の木を指差した。

「・・・あれがそう?」
「そうよ」

いじちく自体は知っている。
スーパーに行けば見掛けることもある。

「知らなかったよ」

“子”は知ってても“親”は知らなかった。

「私の実家の近くにたくさん植えられてて」

この匂いを嗅ぐたびに、実家を思い出すと言う。

「特に子供の頃をね」

うっそうと茂るいちじくの木は、格好の遊び場だったようだ。

「そんなやんちゃだったようには見えないけどな」

見た目は文学少女風だ。

(No.761-2へ続く)

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[No.760-2]ストリートライブ

No.760-2

邪魔になるどころか、なぜだか心に染みてくる。

(・・・なんでだろう)

心の中で、自分に問い掛けてみる。
特別、歌詞に共感しているわけでもないからだ。

「でも、こんなシーンもあるよな」

ストリートライブに耳を傾ける。
色々な人が、色々な想いをそこに重ね合わせる。
ドラマなどでたまに見掛けるシーンだ。

「・・・分かる気がする」

僕の場合、単に疲れて座っているだけだ。
それでも、心癒される。
これがストリートライブの魅力かもしれない。

「ふぅ~」

なぜだか深呼吸がしたくなった。
溜まっていたものを吐き出すかのように。

(・・・静かだよな)

街の中心部だ。
行き交う人の波で、静かなはずはない。
なのに、集中しているせいだろうか、歌声以外聞こえない。

「お待たせ~!・・・あれ・・・」
「ねぇ・・・ちょっと・・・聞いてるぅ!?」

もう少し、たたずんでいたかったのが正直な気持ちだった。
S760
(No.760完)
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[No.760-1]ストリートライブ

No.760-1

登場人物
男性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
「じゃぁ、あとはよろしくぅ!」

何を“よろしく”されたのかは分からない。

「あぁ・・・」

とりあえず、生返事だけは返しておいた。

「ふぅ~」

ため息にも似た声が出てしまった。
でも、どちらかと言えば安堵の声だ。

(やれやれ・・・)

女性の買い物に付き合うことほど大変なものはない。
特に化粧品の場合は。
女の花園というか戦場と言うか・・・とにかく居場所がない。

(ようやく一休みできそうだな)

だから、彼女とは分かれて行動することにした。
行動と言っても、僕は単なる休憩だ。

「・・・ん?」

椅子に腰掛けた途端、どこからともなく歌声が聞こえてきた。
姿は見えないが、声は近い。

「たまにはいいかもな」

悪くない曲調だ。
ロックやパンクのような激しいものではない。
これなら、休憩の邪魔にならない。

(No.760-2へ続く)

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ホタル通信 No.319

小説の舞台裏やエピソード、作者の想いを紹介します。

小説名:No.369 ですな
実話度:★★☆☆☆(40%)
語り手:男性

この小説の主軸は、“ですな”で間違いありませんが、実はもうひとつキーワードがあります。

この“ですな”を使う人は実在します。ただ、小説のように言葉で言うのではなく、メールをやりとりする際に時々使っていました。
メールを貰うたびに愉快になれたことを覚えています。
そもそも、この言葉をどこで仕入れてきたかは不明です。小説にも書きましたが、方言と言うにはさほどインパクトもなく、普通の言葉が多少、訛って聞こえる程度です。
いずれにせよ、知ったところでどうなるわけでもありませんから、今でも知らないままです。

さて、もうひとつのキーワードは“長老”です。
実は“ですな”の人と、“長老”の人は別人で、ふたりの話を混ぜ合わせたような小説です。最初から、混ぜ合わせることを考えていたのではなく、話の流れで自然にそうなった感じです。
このふたりは冬のホタルでは度々登場する人物であり、ひとりは度々ではなく、ヒロインと言ってもいいでしょうね。つまり、せいじゅうろうシリーズの菜緒に他なりません。

彼女がこの言葉を使うと、愉快でもあり、ほっこりした気分にもなります。二人でよく大笑いしたことが懐かしい今日この頃です。
T319
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[No.759-2]運命の人

No.759-2

「札幌に行ったことは?」

二十歳どころか、一度も北海道の地に足を踏み入れたことがない。

「じゃあ、彼は?」
「彼も同じで、北海道を出たことがないって」

つまり、二人は二十歳の時に出会えるはずもない。

「・・・まぁ、あくまでも占いというか・・・何というか・・・」

友人のフォローがぎこちない。
彼を運命の人と思っていただけに、残念な結果だった。

「気にしない!気にしない!」

と言われても気にせずにはいられない。
彼とは結婚も考えているからだ。

「・・・違うのかな」

そうなると、運命の人は別にいることになる。

「・・・ん?」

友人が何か気付いたようだった。

「確か、私たち・・・二十歳の時に出会ったよね?」
「そうだけど・・・まさか、あなた!?」

言い終えた瞬間に私もあることに気付いた。

「ちょ、ちょっと待って・・・」

急いで、その占いを確認してみた。

「・・・男性用」

女性向けは別にあった。
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(No.759完)
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[No.759-1]運命の人

No.759-1

登場人物
女性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
「運命の人と出会った年が分かる・・・か」

ありがちなキャッチコピーに、まんまとキャッチされた私がいた。

「・・・で結果は?」
「それが・・・ね」

科学的な根拠はないことは分かっている。
けど、無視できない何かがある。
乙女心とは、そういうものだ。

「・・・なるほどね」

躊躇する私を見て、察したようだった。

「納得いかない結果が出たんでしょ?」
「・・・まぁ、そういうことね」

運命の人とは二十歳の時に、出会っていると出た。

「確か・・・今の彼とは・・・」
「・・・私が26才の頃かな」

彼とは仕事を通じて知り合った。

「付き合う一年前に、転勤してきたようなんだよね」

さりげなく彼に聞いてみた。

「それも、札幌から・・・」

時間的な距離が近くなったとは言え、東京とは縁遠い場所だ。

「それじゃ・・・」

今までの話が何を意味しているか、説明するまでもない。

(No.759-2へ続く)

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[No.758-2]二次会

No.758-2

「今は・・・なにさ?」
「・・・ううん・・・なんでもない」

コーラをすする彼の横顔が何だか寂しく見える。

「酔ってる?」
「・・・かもな」

さっきまでの飲み会のことを聞いたつもりだった。

「このコーラ・・・きくねぇ~」
「嘘でしょ!?」

馬鹿馬鹿しい行為だとは思っている。
けど、今は付き合ってあげたい気分だ。

「私にも一杯、いただけるかしら?」

彼から“おちょこ”を奪い取った。

「ちょ、ちょっとそれ・・・」
「別にいいじゃん」

せっかくなので、彼についでもらうことにした。

「・・・気が利かないわね!」
「ごめん、ごめん!」

こうして私たちの二次会が公園で始まった。
S758
(No.758完)
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[No.758-1]二次会

No.758-1

登場人物
女性=牽引役  男性=相手
-----------------------------
「こんな飲み方しなかった?」

そう言うと、ペットボトルの蓋に、コーラを入れ始めた。

「ちょ、ちょっと!なにしてるのよ・・・」
「おっ、とっ、と・・・」

どこかで聞いたことがあるセリフと行動だった。
コーラがあふれる前に、口を迎えに行くところなんて・・・。

「それって・・・」
「子供の頃、よくしなかった?」

確かに男子がしているのを見たことがある。

「お酒とおちょこ・・・のつもりよね?」
「そう!そのつもり」

そんな男子の行動を、冷ややかに見ていた。

「ほんと、男子って“ガキ”なんだから」

ついでに酔ったふりをしながら、女子にちょっかいをかける。
それが、またうっとうしくもあった。

「けどさ・・・今は」

“つもり”や“ふり”をする必要がない。
そう言いたげだった。

(No.758-2へ続く)

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ホタル通信 No.318

小説の舞台裏やエピソード、作者の想いを紹介します。

小説名:No.288 幻の花屋さん
実話度:★☆☆☆☆(20%)
語り手:女性

この小説は、ある理由でとても印象に残っています。それらしく纏まっているように見えますが、かなり試行錯誤がありました。

通常は仕事の昼休み中に、1本小説を仕上げるのが、私の長年のスタイルなんですが、この小説に限っては家に帰って何度も書き直しました。
ずっと倉庫だと思っていた場所が実は花屋さんだった・・・ということは事実です。ですから、エピソードしては比較的、書きやすい方だと思っていたのですが、いざ書き始めてみると、筆が全く進まず、進んだとしても書き直しが続きました、
なぜ?と聞かれても明確にお答えできません。とにかく、非常に書き辛かった小説でした。そのせいで、このホタル通信もあまり筆が進みません。

今もでもこの倉庫自体は存在していますが、花屋さんを続けているかどうかは分かりません。相変わらず、花屋さんと分かるような看板はなく、それらしい雰囲気もありません。
尚、小説に書いているような、仕事上のつながりは一切なく、ラスト付近は全て創作です。
T318
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[No.757-2]にぎわいの季節へ

No.757-2

「どう・・・って・・・」
「ほら!変わってないじゃない・・・」

彼女と会うのは十数年ぶりだ。
その間、一度も連絡したことはない。

「相変わらずなんだから!」

お酒の勢いもあるのだろうか?
けど、昔と変わっていないとも言える。

「誘ってるのか?」

ちょっと、イジワルく返した。

「・・・だとしたら?」
「うっ・・・」

反対にやり込められてしまった。

「冗談よ・・・」
「ただ・・・ね」

彼女の言いたいことは分かっている。

「分かってる・・・僕もそれなりに成長したからね」
「・・・ならいいけど」

当時の心境を理解して欲しかっただけなんだ。

「今は・・・そんな気持ちはないから」
「あぁ、それも分かってるよ」

ただ送られて帰る・・・無口な毎日、淋しくなるだけ・・・。
そんな歌があった。
S757
(No.757完)
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[No.757-1]にぎわいの季節へ

No.757-1

登場人物
男性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
「ねぇ、覚えてる?」

何となく、そんなことを言われそうな予感はしていた。

「・・・あぁ」

彼女との思い出なら山のようにある。
けど、今のシチュエーションなら、あれしかない。

「どう・・・当時を振返ってみて?」
「なかなか手厳しいな・・・」

なにか“あった”のではない。
逆に、なにも“なかった”のだ。

「そりゃそうよ・・・」
「乙女心がわかんない人だったでしょ?」

僕が高校の時の話だ。
そんな僕に、高望みをしても仕方がない。

「当時はみんなそうだろ?」
「・・・そうかな?」

男子の方が恋愛には消極的だったと思う。
どこか、硬派をきどるあまりに。

「じゃ、今はどうなの?」
「えっ!?」

同窓会の夜は、ある意味危険に満ち溢れている。

(No.757-2へ続く)

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[No.756-2]出世の神様

No.756-2

「神頼みしなくても大丈夫だから・・・」
「万一・・・ってこともあるでしょ?」

努力はしてきたつもりだ。
だから、それなりに自信はある。

「まぁ、お守りだと思って・・・」
「・・・そりゃそうだけど」

逆に、これがプレッシャーにならなくもない。

「じゃ、入れるわよ」

彼女の合図で、千円を賽銭箱に投げ込んだ。
その後、しばし無言の時間が続いた。

「・・・これで・・・大丈夫ね」
「この神社は、出世の神様として有名なんだから!」

欲深いのではない。
純粋に僕のことを心配してくれている上での行動だ。

「“絶対に合格させてね”って、お願いしたよ」
「・・・あなたもそうでしょ?」

フレンドリーなお願いが気にならなくもないが。

「も、もちろん!」

本当は、“彼女が幸せになれますように”とお願いした。
S756
(No.756完)
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[No.756-1]出世の神様

No.756-1

登場人物
男性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
「ほら、あったわよ!」

正直、あまり気乗りしない。

「なにしけた顔してるのよ?」
「さぁ、行くわよ!」

とある神社に連れてこられた。
そこそこ有名な神社らしい。

「そんなに張り切らなくてもいいだろ?」
「あなたのためでしょ?」

有り難いと言えば、有り難い話だ。
僕のことなのに、神頼みまでしてくれようとしている。

「ほら、早くお賽銭!」
「これくらいでいいかな・・・?」

奮発して100円玉を取り出した。

「ばかね!これくらいは必要よ!」

そう言うと、僕の財布から千円を抜き取った。

「ちょ、ちょっとぉ~!」
「私も千円出すからさ」

昇格試験を、この二千円に託すようだった。
相場がいくらかは別にして。

(No.756-2へ続く)

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ホタル通信 No.317

小説の舞台裏やエピソード、作者の想いを紹介します。

小説名:No.290 郵便番号
実話度:★★★☆☆(60%)
語り手:女性

実は今でも直っていません。郵便番号どころか、最近は住所や電話番号も怪しいものです。

そう頻繁に書くことがない・・・と言っても、それくらいは覚えているでしょ?と言われそうですが、なぜだか頭に入りません。
時々、仕事でビジネスホテルに宿泊する際、住所は大阪なのに電話番号は以前住んでいた札幌の番号を書いたことがあったくらいです。
小説に書いた通り、本当の意味でその土地に馴染んでいないためかもしれません。

どちらかというと、ややしんみりとする話であり、後半、友人の話も加えたため、さらにしんみり度が増しています。ラストを明るく迎えるための、前振りや伏線だったわけではなく、ただ何となくそうなったに過ぎません。
これもあってラストは、おちゃらけたような感じにしつつも、友人だからこそ言えるような内容に仕上げました。

郵便番号そのものではなく、それを覚えていない自分を題材にするところが、冬のホタルらしいと思っています。
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