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[No.755-2]vs

No.755-2

「私だって、本当は・・・」

実際に飼っているからこそ、余計に辛い決断だ。

「私なんか、すぐ情にながされて・・・」

無責任にエサを与えてしまう。
結果、生きながらえた彼らが子供を残すこともあるだろう。

「彼らになにも罪はないんだけどね」

一匹の猫が友人の足元でじゃれつき始めた。
私たちの悩みなんて、お構いなし・・・といった感じだ。

「ねぇ、あんた・・・その人は“立て札側”の人間よ?」 

じゃれつく猫に、イジワルく問いかけた。

「でも・・・悔しいけど、ちゃんと分かっているみたいね」

口先だけの人間とそうではない人間。
だから、その猫は友人を選んだ。

「いずれにせよ、彼らには関係がない争いね」

人間が手助けしようがしまいが、彼らは彼らで生を全うする。

「・・・ところで、あなたはどっちの味方?」

友人が話を戻してきた。

「私はやっぱり、与える側・・・」
「いいんじゃない・・・それで」

安堵の表情を浮かべる友人の顔が、とても印象的だった。
S755
(No.755完)
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