[No.754-2]同じパターン
No.754-2
「ほら、あの女優さんが・・・」
この時点で、あの番組ではないことがわかる。
「ごめん!見てないんだ」
「・・・何だか嬉しそうね」
自分としては隠したつもりだった。
「ところで・・・」
声のトーンが急に変わった。
「ある番組でさぁ・・・同じパターン・・・あったよね」
天国から地獄に突き落とされた気分だ。
「えっ・・・あっ・・・見たんだ」
隠し通せる自信がなかった。
だから、素直に白状した。
「けんかの原因だったから良く覚えているよ」
「私達だけじゃなかったんだね」
ある日、LINEのやりとりでオウム返しが始まった。
その途中に、僕は“好き”と入力した。
本気ではないにせよ、嘘でもない。
「あの時は・・・ごめん」
その言葉でオウム返しは終わった。
でも、それが発端で、彼女とはしばらく音信普通になった。
「もう気にしていないから」
何とか関係を戻すことができた。
以前と変わらぬ、仲が良い友人という関係を。
(No.754完)
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