[No.750-2]叶えてあげる
No.750-2
「実は・・・」
小学生の頃、夏休みの宿題に自由研究があった。
「俺もあったよ」
「でね・・・」
空き箱を利用して、何かを作ろうとした。
「何かって?」
「それが、いろいろ考えるけど、結局何も出来なくて」
そもそも思い立っても、肝心の空き箱がない。
だから、無理矢理に空き箱を作ることが多かった。
「母親に頼んでさぁ・・・中身を取り出したりしてた」
でも、そんなに都合よく箱が揃わない。
結局、何も作れずに終わる。
「それが毎年、続いて・・・」
たかが小学生のすることだ。
普段から空き箱を準備するほど、用意周到さはない。
「その反動が出てるんだよね、きっと」
気付けば、空き箱をとっておくことが習慣になった。
「けど、さすがに工作はしないだろ?」
「うん、多分・・・というより、絶対しない・・・でも・・・」
くどいようだけど、捨てられない。
「仕方ないなぁ・・・」
「昔の“何か”を叶えてあげるよ、時間はたっぷりあるんだし」
(No.750完)
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