[No.749-2]ボロボロの本
No.749-2
極力、自然に話題を振ったつもりだった。
けど、感づかれているかもしれない。
「ほら、イマドキの子にしてはさぁ・・・」
お世辞にも、ボロボロの参考書は“カワイイ”とは言えない。
いくら勉強のためだとは言っても。
「多少、見栄えを気にするだろ?」
「まぁ・・・ね」
だから、その姿勢に感動すら覚えた。
「そうなんだ」
「好きになっちゃいそうだよ」
もちろん、本気で言ってるのではない。
けど、冗談でもない。
「これって新手の告白?」
「・・・」
やはり、感づかれているようだ。
「確か、同じ電車だったよね?」
「・・・高校の時」
学校は違えども、同じ電車だった。
毎朝、彼女と同じ車両に居た。
| 固定リンク | 0
「(030)小説No.726~750」カテゴリの記事
- [No.750-2]叶えてあげる(2017.03.22)
- [No.750-1]叶えてあげる(2017.03.19)
- [No.749-2]ボロボロの本(2017.03.16)
- [No.749-1]ボロボロの本(2017.03.14)
- [No.748-2]スーツの悲鳴(2017.03.12)
コメント