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[No.749-2]ボロボロの本

No.749-2

極力、自然に話題を振ったつもりだった。
けど、感づかれているかもしれない。

「ほら、イマドキの子にしてはさぁ・・・」

お世辞にも、ボロボロの参考書は“カワイイ”とは言えない。
いくら勉強のためだとは言っても。

「多少、見栄えを気にするだろ?」
「まぁ・・・ね」

だから、その姿勢に感動すら覚えた。

「そうなんだ」
「好きになっちゃいそうだよ」

もちろん、本気で言ってるのではない。
けど、冗談でもない。

「これって新手の告白?」
「・・・」

やはり、感づかれているようだ。

「確か、同じ電車だったよね?」
「・・・高校の時」

学校は違えども、同じ電車だった。
毎朝、彼女と同じ車両に居た。

「だから“久しぶり”だったんだ」
S749
(No.749完)
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