[No.749-1]ボロボロの本
No.749-1
登場人物
男性=牽引役 女性=相手
-----------------------------
(ええっ・・・)
イマドキの女子高生が持ってるだけにそのギャップに驚いた
「参考書?」
「うん・・・多分、英単語の本だと思う」
昨日、電車の中でひとりの女子高生に目が行った。
「それがさぁ・・・ものすごく使い込まれてて」
一言で言えば、ボロボロの状態だ。
本なのに、磨り減った感が半端ない。
「久しぶりに見たよ、あんなの」
もちろん、使い方が荒いわけではない。
彼女の勉強ぶりを見れば分かる。
「・・・熱心に勉強してた?」
「そりゃ、食い入るようにな」
ボロボロの程度は、努力の裏返しでもあるだろう。
「参考書も幸せね」
「だろうな」
参考書にしてみれば、本望だろう。
ここまで、使い込まれたのだから。
「・・・ところで、なんでこんな話をしたの?」
| 固定リンク | 0
「(030)小説No.726~750」カテゴリの記事
- [No.750-2]叶えてあげる(2017.03.22)
- [No.750-1]叶えてあげる(2017.03.19)
- [No.749-2]ボロボロの本(2017.03.16)
- [No.749-1]ボロボロの本(2017.03.14)
- [No.748-2]スーツの悲鳴(2017.03.12)
コメント