« [No.748-1]スーツの悲鳴 | トップページ | [No.749-1]ボロボロの本 »

[No.748-2]スーツの悲鳴

No.748-2

「ほら、最初に買ったスーツってさぁ・・・」

いわゆるリクルートスーツだ。
母と一緒に買いに行った。

「そうね・・・クローゼットに眠ったままね」
「私も同じよ」

無難と言えば無難なスーツだ。
ただ、色々な意味で似合わなくなっていった。

「半年も過ぎれば、もう新入社員じゃないからね」

着慣れないスーツが武器になるのも半年間だ。

「それもあって自分に似合うスーツに買い換えたからね」

聞こえは良いが事実は違う。

「何キロ?」
「私は5キロ・・・」

同僚は同僚で、指を4本立ててみせた。

「・・・だよね」

私たちの場合、新入社員時の心労はマイナスに働いた。

「だから逆にスーツが似合うようになったんだけどね」
「それは言えてるね」

良く言えば、貫禄が出てきた。

「でも、スーツは悲鳴を上げているだろうな・・・」
S748
(No.748完)
読み終えたら、クリックして頂けると、励みになります。
ブログランキングへ
 ブログランキングへ にほんブログ村 小説ブログ 短編小説へ web拍手 by FC2

| |

« [No.748-1]スーツの悲鳴 | トップページ | [No.749-1]ボロボロの本 »

(030)小説No.726~750」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: [No.748-2]スーツの悲鳴:

« [No.748-1]スーツの悲鳴 | トップページ | [No.749-1]ボロボロの本 »