[No.745-2]スクランブルエッグ
No.745-2
「とにかく今日はスクランブルエッグなの!!」
こうなったら、ゴリ押しするしかない。
わがままは、お手のものだ。
「・・・まぁ、そこまで言うなら」
彼が折れ始めた。
「だから、さぁ、食べて食べて!」
味は問題ないはず・・・というより失敗する方が難しい。
極端に言えば、卵をかき混ぜるだけでいい。
「ねぇ、美味しい?」
「あぁ・・・」
イマイチ表情が冴えない。
やはり卵焼きが捨て切れないようだ。
「明日は卵焼きにするからさぁ~」
「これからずっと、卵焼きでお願いするよ」
今は、“うん”というしかあるまい。
「うん、頑張ってみる」
「・・・頑張る?」
「ほ、ほら・・・もっと美味しくなるように“頑張る”って意味!」
つい口を滑らせてしまった。
頑張ることには変りはないものの・・・。
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