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2017年2月

[No.746-2]100円スリッパ

No.746-2

私ならプライベートとは言え、履きたくない。
色もデザインも、はっきり言ってダサイ。

「・・・こんな趣味だった?」
「ううん、全然」

その通りだと思う。
彼女の“ピンク色好き”は随分前から知っていた。
実際、今もピンク色で目が痛い状況だ。

「それならどうして?」

スリッパなら他にもたくさんあった。
それこそピンク色の物も。

「ほら、先月、ハワイにいったじゃん」

気ままな一人旅だと聞いていた。

「その時にね、ホテルの部屋で履いてたんだ」

その時、100均で買ったスリッパを持っていったらしい。
旅行なら懸命な選択だ。

「捨てて帰ってくるつもりだったんだけど・・・」
「なんだか、捨てられなくて」

ホテルとは言え“ハワイの地”には変わりない。
それを踏みしめたスリッパに、愛着を感じたらしい。

「う~ん、理解しがたい話ね」

私も同じ経験をすることを、この時は知らなかった。
S746
(No.746完)
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[No.746-1]100円スリッパ

No.746-1

登場人物
女性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
「気を遣わないでいいのに・・・」
「えっ!?なにが・・・」

友人の家に遊びにきた。

「なにがって、これよ」

足元を指差す。

「・・・スリッパ?」
「うん」

貸してくれたのが、もの凄い高級品とは言わない。

「これがなに?」

けど、少なくとも友人の履いている物よりは格段に良い。

「落差がありすぎない?」
「そう?」

なかなか会話が進まない。

「まぁ、別にいいならいいけど」

どこをどう見ても安物だとわかる
その薄さと、何ともやる気のない作りがそれを物語っている。

「気を遣っているわけじゃなくて」
「好きで履いてるの」

(No.746-2へ続く)

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ホタル通信 No.312

小説の舞台裏やエピソード、作者の想いを紹介します。

小説名:No.373 笑顔に逢いたい
実話度:★★★★★(100%)
語り手:女性

フムフム・・・と読み進めて行くと、最後の最後で「エー!」みたいな感じで終わります。

実話度が示す通り、ほぼ実話です。実際に、小説上の私(女性)がした行為を忠実に再現してみました。所々、意味不明とも思える行動をしていますが、現実の行動を小説風にしたので、こんな感じになりました。

さて、小説上、時間の情報は入れていませんが、仕事終わりの夜の話です。エレベータに向かう途中に、泣き声が聞こえてきたのですが、それが何ともか細く、誰かに呼びかけているようであり、只ならぬ雰囲気を感じました。
この後の展開は小説に書いた通りであり、遠くに逃げない子猫、親猫と私のコミカルな攻防戦・・・が続きます。コミカルと言っても親猫にちょっとイジワルしたような感じですね。

冒頭に記載した最後の最後で「エー!」みたいな感じで終わることについては、何の伏線もなく、卑怯と言えば卑怯な結末です。
自分自身もどうして、少しダークな話を持ち込んだのか、ハッキリとは覚えていません。
でも、この猫の関係が、どうしてもある人と重なってしまったために入れました。つまり、まだ“見ぬ母”については、現実の作者ではなく、他人のエピソ-ドです。

猫がからむ話はこの他にも多数あります。積極的にからむつもりはないのですが、なぜだか巻き込まれてしまいます。でもそれを楽しんでいる自分が居ます。
T312
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[No.745-2]スクランブルエッグ

No.745-2

「とにかく今日はスクランブルエッグなの!!」

こうなったら、ゴリ押しするしかない。
わがままは、お手のものだ。

「・・・まぁ、そこまで言うなら」

彼が折れ始めた。

「だから、さぁ、食べて食べて!」

味は問題ないはず・・・というより失敗する方が難しい。
極端に言えば、卵をかき混ぜるだけでいい。

「ねぇ、美味しい?」
「あぁ・・・」

イマイチ表情が冴えない。
やはり卵焼きが捨て切れないようだ。

「明日は卵焼きにするからさぁ~」
「これからずっと、卵焼きでお願いするよ」

今は、“うん”というしかあるまい。

「うん、頑張ってみる」
「・・・頑張る?」
「ほ、ほら・・・もっと美味しくなるように“頑張る”って意味!」

つい口を滑らせてしまった。
頑張ることには変りはないものの・・・。

「無理して、今日みたいに寝坊するなよ」
S745
(No.745完)
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