[No.744-1]単純な私
No.744-1
登場人物女性=牽引役
男性=相手
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「これ食べたかったんだぁ!」
彼が出張先で、スイーツのお土産を買ってきてくれた。
「美味しいぃ!!」
「これ食べたかった・・・んだよね・・・あれ?」
言い終わる前に気付いた。
ついこの前、同じセリフを言ったことがある。
「どうした?」
「えっ!?う、うん・・・」
なぜだか恥ずかしさが込み上げてきた。
同じセリフを言ったことじゃない。
もっと、根本的な“何か”に対してだ。
「食べたかったんだろ?」
「そうなんだけど・・・」
よくよく考えれば不思議だ。
付き合いだしてから、まだ半年しかたっていない。
「よく分かったね?」
「何が?」
「何がって・・・これが食べたかったことよ」
思い返せば、こんなことが多い。
怖いくらい、私が食べたいものを食べさせてくれる。
「・・・知りたい?」
見下すように、ニヤリと笑った。
今まで見たことがない彼の顔に、背筋が凍った。
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