[No.743-2]後どれくらい?
No.743-2
“髪は女の命”とも言われるほどだ。
その痛みは男には分からない。
「どれくらい掛かるんやろ?」
「そうだなぁ・・・」
考えるふりをした所で、答えが出るわけでもない。
むしろ、知っているほうが変だ。
「数年?」
「・・・かもね」
向こうから“らしき答え”を振ってきたので、それに合わせた。
何となくそんな気がしないこともないからだ。
「やっぱり、そうやね・・・」
考える以上に傷は深そうだ。
それにしても・・・なぜ、髪を短くしようとしたのだろう。
多少、そんな危険性があるにも関わらず。
「聞きにくいけど、何か心境の変化でも?」
「・・・心境の変化?」
反応がイマイチだ。
的外れの質問だったのだろうか?
「ほら・・・短くはするつもりだったんでしょ?」
少なくとも、そういう意志はあったはずだ。
「なにいうてんねん!?勝手にされたやん!」
「予告はあったけどな」
ここに来て急に話が噛み合わなくなった。
「予告って・・・今、髪の話をしてるよね?」
「違う違う!」
(No.743完)
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