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[No.741-2]忘れかけていたもの

No.741-2

「で・・・どうする?」
「なにが?」

彼女が何やら提案してきた。

「鈍感ね!買って帰るのよ!」
「・・・あぁ、それね!」

せめて売り上げに貢献してあげたい。
彼女らしい考え方だ。

「そうと決まれば行くわよ!」

彼女がそそくさと店を出る。
目の前だけに、すぐに女の子に声を掛けることができた。

「いい子だったね」

彼女は女の子と二言三言、言葉を交わした。

「あぁ、確かに」

今日は、この冬一番の冷え込みらしい。
けど、それを微塵も感じさせない素晴らしい接客だった。

「彼女も喜んでくれたしな」

掛け声よりも、“売り上げ”で応援したほうが良いと考えた。
それで必要以上に、チキンを買った。

「なんだか、忘れかけていたものを思い出した気がするね」

外は寒くても、心の中はとても暖かかった。
S741
(No.741完)
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