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2017年1月

[No.745-1]スクランブルエッグ

No.745-1

登場人物
女性=牽引役  男性=相手
-----------------------------
「今日はスクランブルエッグにしてみたんだ」

まずは先制攻撃が不可欠だ。

「今日もスクランブルエッグ?」
「いくら卵焼きが好きでも、毎日なら飽きるでしょ?」

ごく自然に答えた。

「おれは毎日でも大丈夫だよ」
「でも、たまには、ねっ!」

自分の考えを押し付けた。

「好きなんだよな~この味」
「そ、そうなんだぁ・・・」

ほめられているにも関わらず、焦ってしまう。
もちろん、やましいことがあるからだ。

「甘みが丁度いいからね」

卵焼きが大好きなことは知っている。
だから、朝食には欠かさず作っている。

「けど、ほら・・・たまには浮気するのも・・・ね?」
「浮気公認なの?」

話が良からぬ方向へと進み出した。

「ものの例えよ!」
「どんな例えなんだよ・・・まったく・・・」

私のおかしな言動で、微妙な空気が漂い始めた。

(No.745-2へ続く)

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[No.744-2]単純な私

No.744-2

「ちょ、ちょっと・・・脅かさないでよ・・・」

個人情報が筒抜けになっているのかもしれない。
スマホに怪しげなアプリを仕込まれる話も聞いたことがある。

「まさか・・・」
「・・・な、わけないだろ!」

そういうと一転して、いつもの笑顔に戻った。

「もぉ!そんな時期じゃないでしょ!!」
「ごめん、ごめん、ちょっとからかっただけだよ」

・・・とは言え、疑問は残る。

「でも、どうして?」
「君が一番よく知ってるよ」

そう言われても、心当たりはない。

「多分、意識してないとは思うけどね」

なんのことだか検討もつかない。

「・・・会話の節々で、“これ食べたい”って言ってるよ?」

確かに意識して、おねだりしたことはない。
心の叫びを口にしたまでだ。

「それを拾ってくれていたの?」
「ただ、今日までかもしれないぞ?」

それはそうかもしれない。
次からは“意識”して、口にするからだ。
S744
(No.744完)
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[No.744-1]単純な私

No.744-1

登場人物
女性=牽引役  男性=相手
-----------------------------
「これ食べたかったんだぁ!」

彼が出張先で、スイーツのお土産を買ってきてくれた。

「美味しいぃ!!」
「これ食べたかった・・・んだよね・・・あれ?」

言い終わる前に気付いた。
ついこの前、同じセリフを言ったことがある。

「どうした?」
「えっ!?う、うん・・・」

なぜだか恥ずかしさが込み上げてきた。
同じセリフを言ったことじゃない。
もっと、根本的な“何か”に対してだ。

「食べたかったんだろ?」
「そうなんだけど・・・」

よくよく考えれば不思議だ。
付き合いだしてから、まだ半年しかたっていない。

「よく分かったね?」
「何が?」
「何がって・・・これが食べたかったことよ」

思い返せば、こんなことが多い。
怖いくらい、私が食べたいものを食べさせてくれる。

「・・・知りたい?」

見下すように、ニヤリと笑った。
今まで見たことがない彼の顔に、背筋が凍った。

(No.744-2へ続く)

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ホタル通信 No.311

小説の舞台裏やエピソード、作者の想いを紹介します。

小説名:No.377 季節の色
実話度:★☆☆☆☆(%)
語り手:女性

時々、こんな小説を作ります。アンニュイとまでは行かなくても物思いにふけると言うか・・・。

話は変りますが、秘密にしている作者の情報をひとつ公開すれば少なくとも“学生”ではありません。ですが、今回の話の舞台は高校です。つまり、本物の高校生の方々からすれば、かなり違和感を感じるかもしれません。悪い意味で、会話が大人っぽ過ぎるとか・・・。

さて、内容に触れていきますね。
この話のきっかけは、秋になると特徴的な香りを放つ、あのオレンジ色の植物です。実はこの香りに触発されて書いた小説が少なくありません。自分の中では、季節というか時の流れを感じる植物のひとつです。
なぜ、舞台を高校にしたのか覚えてはいませんが、書き進めて行くうちに、少し青春めいた展開になってきたため、そのまま高校を舞台にしました。当然、オチは考えていませんでしたが、いつも通り、二人に話の展開を任せていると、こんな感じに落ち着きました。

“季節は巡り”との記述は、具体的な期間をあえて避けて、読み手に想像してもらうための手法です。この二人が物思いにふけていたのは、もしかしたら卒業を前に色々と考えていたからかもしれませんね。
自分達の足跡、先生や後輩達への想い、そして叶わなかった恋。
T311
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[No.743-2]後どれくらい?

No.743-2

“髪は女の命”とも言われるほどだ。
その痛みは男には分からない。

「どれくらい掛かるんやろ?」
「そうだなぁ・・・」

考えるふりをした所で、答えが出るわけでもない。
むしろ、知っているほうが変だ。

「数年?」
「・・・かもね」

向こうから“らしき答え”を振ってきたので、それに合わせた。
何となくそんな気がしないこともないからだ。

「やっぱり、そうやね・・・」

考える以上に傷は深そうだ。
それにしても・・・なぜ、髪を短くしようとしたのだろう。
多少、そんな危険性があるにも関わらず。

「聞きにくいけど、何か心境の変化でも?」
「・・・心境の変化?」

反応がイマイチだ。
的外れの質問だったのだろうか?

「ほら・・・短くはするつもりだったんでしょ?」

少なくとも、そういう意志はあったはずだ。

「なにいうてんねん!?勝手にされたやん!」
「予告はあったけどな」

ここに来て急に話が噛み合わなくなった。

「予告って・・・今、髪の話をしてるよね?」
「違う違う!」
S743
(No.743完)
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[No.743-1]後どれくらい?

No.743-1   No.726-1 息を潜めて

登場人物
男性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
「早く・・・」
「・・・」
「・・・伸びて・・・」

しきりに髪を触りながら、何やらつぶやいている。

「どうかしたの?」
「ううん、なんでもない」

そう言うと、また髪を触り始めた。

(・・・そういうことか)

どうやら、バッサリ切った髪を気にしているらしい。
確かに、びっくりするほどショートヘアになっていた。

「・・・大丈夫だから」
「そうかな・・・」

落ち込んではいないまでも、いつもの元気はない。
よほど、イメージとはかけ離れた髪型になったようだ。

「大丈夫!大丈夫!」

下手に取り繕うと、墓穴を掘る。
ここは、どうとでもとれる言葉で誤魔化すのが一番だ。

「伸びるよね?」
「も、もちろんだよ!」

ただ、以前の長さに戻るには相当時間が掛かるだろう。

「気長に待つしかないよ」
「・・・うん」

こればかりは、どうしようもない。

(No.743-2へ続く)

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[No.742-2]私は彼女

No.742-2

そして、その子の変りように驚いた。

「美人になったというか・・・スッキリしたというか・・・」

もともと太目ではないにせよ、女子らしいふくよかさはあった。

「あんたねぇ・・・私じゃなかったら殴られるよ!」
「仕方ないだろ?事実なんだから」

最初は、誰だか分からないほどだった。
髪型も違うし、身長もかなり伸びていた。

「・・・で“逃した魚は大きい”とでも?」
「まさか!」

負け惜しみではなく、本当に恋愛感情はない。
今でも近くて遠いご近所さんだ。

「それなら、今から狙えば?」

確かにそれも悪くない。
彼女が居ないまま高校生活を終わらせたくない。

「いいの?」
「・・・ダメに決まってるじゃない!!」

急に態度が変る。

「なんだよ、それ!?」
「・・・“彼女”だと思ってたんだけどな」
S742
(No.742完)
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[No.742-1]私は彼女

No.742-1

登場人物
男性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
「その子のことが好きなの?」
「ち、ちがうよ!」

何気ない話でも、なぜだか恋愛話へ飛躍させる。

「わりと家が近いので、よく見掛ける程度の関係だよ」

中学までは同じ学校に通っていた。
ただ、同じクラスになったことは一度もない。

「だから、しゃべったこともない」

親同士の繋がりもないので、何も接点がなかった。

「でも、お互い認識はしてたんでしょ?」
「そうだとは思うけど・・・」

大人らしく、軽い会釈をするわけでもない。
逆に目が合うたびに、お互いそらしていたほどだ。

「だから“認識してた”と?」

お互い、たんにばつが悪かっただけだ。
好きとか嫌いとかの話ではない。
でも、違う高校に通い出してからは、ほとんど見掛けなくなった。

「それで、昨日、久しぶりに見掛けたんだけど・・・」

約2年振りにその子とバッタリあった。

(No.742-2へ続く)

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ホタル通信 No.310

小説の舞台裏やエピソード、作者の想いを紹介します。

小説名:No.238 なんだよ・・・。
実話度:★☆☆☆☆(20%)
語り手:男性

最近はあまり書いていませんが、冬のホタルでは定番の雨男、雨女にまつわる話です。

正直、作者は雨男あるいは雨女です。もちろん、小説のように科学的根拠はありません。ただ、驚くほど、外に出た途端、雨が降って来ることが多く、それを否定するのが難しいほどです。
そんなエピソードが多いこともあり、雨をテーマにした小説がよく生まれます。

さて、内容に触れていきます。
小説の3分の2は“どうでもよい話”で構成しています。その話を延々と悶々と続けることで、オチを際立たせています。この手の話は書く機会が多いので、ネタに困りそうな気がしているのですが、書くたびに新しい発見があります。
とはいうものの、あくまでも日常会話の延長線のようなオチにするために、そこそこ悩んだりはします。

この小説を一言で言えば、“女性の計画的犯行”の話であり、よくあるパターンです。ただ、その犯行が計画通りには行かなかったオチです。
会社を出て、駅に向かっている二人。そして、なかなか雨が降らずにヤキモキしている彼女を想像しながら読んで頂ければ。
T310
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[No.741-2]忘れかけていたもの

No.741-2

「で・・・どうする?」
「なにが?」

彼女が何やら提案してきた。

「鈍感ね!買って帰るのよ!」
「・・・あぁ、それね!」

せめて売り上げに貢献してあげたい。
彼女らしい考え方だ。

「そうと決まれば行くわよ!」

彼女がそそくさと店を出る。
目の前だけに、すぐに女の子に声を掛けることができた。

「いい子だったね」

彼女は女の子と二言三言、言葉を交わした。

「あぁ、確かに」

今日は、この冬一番の冷え込みらしい。
けど、それを微塵も感じさせない素晴らしい接客だった。

「彼女も喜んでくれたしな」

掛け声よりも、“売り上げ”で応援したほうが良いと考えた。
それで必要以上に、チキンを買った。

「なんだか、忘れかけていたものを思い出した気がするね」

外は寒くても、心の中はとても暖かかった。
S741
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[No.741-1]忘れかけていたもの

No.741-1

登場人物
男性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
「今日は稼ぎ時ね!」
「だろうな」

今日がクリスマス・イブだからであろう。
店の外でもチキンを販売している。

「頑張ってるね、女の子」

僕たちは、たまたま窓際のカウンター席に座った。
女の子の背中が目の前で見える位置だ。

「お尻をジロジロ見ないでよ?」
「も、もちろんだよ・・・」

とはいうものの、僕は女の子の真後ろに居る
だから、“見るな”と言われても視野の範囲に入ってしまう。

「大丈夫なのかな?・・・あんな格好で」

イブということもあって、サンタの格好をしている。
帽子だけでなく、全身赤い服装だ。
それが、とても暖かそうには見えない。

「そうね・・・生地が薄そうだもんね」

時々、両手を合わせて、息を吹きかけるしぐさを見せる。
恐らく、手がかじかんでいるせいだろう。

「手際はいいよね」

それにお客さんが居なくても、準備に余念がない。
チキンを入れる箱を作ったり、紙ナプキンを用意している。

(No.741-2へ続く)

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[No.740-2]自分が居る

No.740-2

(実質、もうダメだな・・・)

今、夜の8時をまわったところだ。
さすがに、これから誘うには無理がある。
それに明日の早朝には、帰省先を後にしなければならない。
 
「結局、誘えなかったな・・・」

誘う勇気そのものが、なかったからじゃない。
“勘違いかもしれない”ことが怖かったからだ。

「けど・・・」

もし、“誘って”のサインだとしたら・・・。
このチャンスを逃す手はない。
完全に仲直りしているとは、言い難い状況だからだ。

「・・・そうだ!」

少し前にした、“あること”を思い出した。
これならストレートでも、照れ隠しができる。

『Why don't you go out for dinner with me this summer?』

知ってる限りの英文で、LINEした。
つたない文法だと、誤って伝わる危険性も承知の上だ。

「あっ!返事がきた」

『If it becomes almost time,would you invite him some
other time?』

「・・・」

訳せない自分が居る。
S740
(No.740完)
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[No.740-1]自分が居る

No.740-1

登場人物
男性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
(・・・どうしよう)

年末を前にして、頻繁にLINEが来るようになった。
けど、言葉じゃない。
何の脈略もない、スタンプや写真ばかりだった。

「これって・・・」

1年半ほど前、その女性とケンカになった。
ケンカのきっかけを作ったのは、僕に間違いない。
ただ、なぜケンカにまで発展したのか、今も謎のままだ。

「誘ったほうがいいのかな?」

数ヶ月間、音信不通になっていた時期もあった。
それでも、徐々に距離を縮めて行った。
その努力が実り、ようやく以前の関係に戻りつつあった。

(・・・でもな・・・)

数年前から、帰省の度に彼女と食事をするようになった。
でも、ケンカでそれが途絶え、今日に至っている。

「“誘って”というサインなんだろうか?」

都合の良い解釈だとは思っている。
けど、年末を前に、LINEが急に増えたのは事実だ。

「どうしよう・・・」

結局、行動を起せぬまま、帰省することになってしまった。

(No.740-2へ続く)

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ホタル通信 No.309

小説の舞台裏やエピソード、作者の想いを紹介します。

小説名:No.235 真珠のような女
実話度:☆☆☆☆☆(00%)
語り手:女性

タイトルからして、“商業的な小説”の匂いがします。実際、内容も手前味噌ですが、そこそこの出来です。

話のきっかけはあったとは思いますが、正直覚えていません。
多分、真珠が成長する過程を何らかの方法で知ったことが発端であると思います。
何度か書きましたが、“商業的な小説”とは、独特の世界観がない分、読みやすく理解もしやすい小説を言います。
もともと、皆さんに読んで欲しい・・・という理由でブログを立ち上げたのではなく、ある人だけに向けたメッセージを小説風に置き換えました。従って、“独りよがり”や“自己満足”が主体です。

これを前向きな表現にすれば、独特の世界観ということになりますが、時々、少し主旨を外れた小説らしい小説が生まれることがあります。今回の小説も、前半に“真珠のような人”と謎を仕掛け、オチで種明かしをするという比較的、王道とも言える展開です。
加えて実話度が低い関係で、良い意味での毒々しい感じがなく、サッパリ、アッサリした内容です。
小説的には、そこそこの出来だとしても、自分らしさがなく、あまり好きではありません。

最後になりますが、登場人物が3名の珍しいタイプの小説です。
今でも小説によっては、複数名登場させたい場合も多々あるのですが極力、自分(牽引役)と相手だけに絞り込んでいます。
T309
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[No.739-2]そういうこと

No.739-2

「ところで、どこに向かってるの?」

そう言えば、行き先を聞いていなかった。
半ば強引に、座らされたからだ。

「・・・どこ?」

彼女が怪訝そうな顔をする。

「言って・・・ないよね?」

もしかしたら、聞き逃していた可能性もある。
なんせ、不安でいっぱいだったからだ。

「確かに言ってないけど」

それでも、怪訝そうな顔のままだった。

「でも、走ってたら・・・あっ!?」
「・・・どうしたの?」

何かに気付き、急に笑顔へと変った。

「な、なんだよ・・・急に」
「あぁ・・・そういうことね」

“どう言うことだよ!”とツッコミたくなる。

「ごめん、ごめん・・・いつもと立場が違うもんね」

意味がよくわからない。

「もうすぐわかるわよ」

しばらくすると、見慣れた風景と共に海岸が近づいてきた。

「・・・そういうことか!」
S739
(No.739完)
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[No.739-1]そういうこと

No.739-1

登場人物
男性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
「どう?たまには助手席もいいものでしょ?」

満面の笑みを僕に見せた。

「そんなことより、運転に集中!」

ちょっとしたよそ見でも数十メートル進むと教わった。

「ごめん、ごめん!」
「常に前を向いてなきゃ」

彼女が運転免許をとった。

「いきなり、事故・・・なんてなしだぞ?」
「もちろんよ!そこそこ高かったんだから」

ついでに軽の新車も購入した。

「なんで、いまさら?」

気にはなっていた。
仕事で必要とも思えない。

「別に理由なんてないよ」
「・・・免許のひとつでもあったほうが便利でしょ?」

確かに、身分証と言えばこれだ。

「そうだけど・・・」

若干、色んな面で心配になる。

「わりと器用なのよ、私」

その言葉通り、下手ではない。

「今日はおとなしく、助手席に座ってて!」

とは言え、初心者マークの車は何かと落ち着かない。

(No.739-2へ続く)

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