[No.738-2]クリスマス・イブ
No.738-2
「とれませんか?」
「・・・そうみたいです」
床のすきまにヒールのかかとが、はまっていた。
まるでドラマのワンシーンのようだった。
「ちょっと待って下さい」
彼女の片足を、ヒールごと持ち上げようとした。
「・・・け、結構、はまっていますね」
緩めの力では、どうにも抜け出せそうにない。
強めに持ち上げる必要がありそうだ。
「一気に行きますね!」
「うん・・・」
とは言うものの、かかとを折らないように注意が必要だ。
その上で両手でヒールごと足を持ち上げた。
「と、とれたぁー!!」
「やったぁ!!」
すぐに彼女の手を引き、その場を離れた。
喜びに浮かれていると、第二の“僕”を作りかねないからだ。
「本当にありがとうございます」
「それより・・・早く行ってあげてください」
明らかに男性物と分かるプレゼントを持っていたからだ。
「はい!・・・ありがとう!」
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