« 2016年11月 | トップページ | 2017年1月 »

2016年12月

[No.738-2]クリスマス・イブ

No.738-2

「とれませんか?」
「・・・そうみたいです」

床のすきまにヒールのかかとが、はまっていた。
まるでドラマのワンシーンのようだった。

「ちょっと待って下さい」

彼女の片足を、ヒールごと持ち上げようとした。

「・・・け、結構、はまっていますね」

緩めの力では、どうにも抜け出せそうにない。
強めに持ち上げる必要がありそうだ。

「一気に行きますね!」
「うん・・・」

とは言うものの、かかとを折らないように注意が必要だ。
その上で両手でヒールごと足を持ち上げた。

「と、とれたぁー!!」
「やったぁ!!」

すぐに彼女の手を引き、その場を離れた。
喜びに浮かれていると、第二の“僕”を作りかねないからだ。

「本当にありがとうございます」
「それより・・・早く行ってあげてください」

明らかに男性物と分かるプレゼントを持っていたからだ。

「はい!・・・ありがとう!」

こんなクリスマス・イブも悪くない。
S738
(No.738完)
読み終えたら、クリックして頂けると、励みになります。
ブログランキングへ
 ブログランキングへ にほんブログ村 小説ブログ 短編小説へ web拍手 by FC2

| | | コメント (0) | トラックバック (0)

[No.738-1]クリスマス・イブ

No.738-1

登場人物
男性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
「あっ・・・あぁー!」

見えていたはずなのに、止まれなかった。
そこで立ち止まるとは思ってもみなかったからだ。

「ご、ごめんなさい・・・」
「だ、大丈夫ですか?」

下りエスカレーターの出口でのひとコマだった。
僕が後ろから彼女に衝突した。

「・・・だ、大丈夫です」

多少、強めに衝突した程度で済んだ。

「すみません・・・」

こんな場所で、モタモタしていられない。
でも、一言、言ってやりたい。
原因を作ったのは、彼女だからだ。

「気をつけ・・・」

最後まで言い切るまえに、あることに気付いた。

(・・・なにしてるんだろう?)

彼女がその場で踏ん張っている。
まるでぬかるみに、はまったかのようだった。

「・・・あ・・・あぁー!!」

それに気付いた瞬間、反射的に彼女にひざまずいた。

(No.738-2へ続く)

| | | コメント (0) | トラックバック (0)

ホタル通信 No.308

小説の舞台裏やエピソード、作者の想いを紹介します。

小説名:No.237 かごの中のネコ
実話度:★★★★☆(80%)
語り手:女性

日中ではなく、深夜ということもあり、かなり驚いたことを覚えています。

小説にも書いた通り、向こうは向こうで驚いたと思いますが、遠くまで逃げなかったのが印象的でした。
実話度の通り、ほぼ事実ですが、ラストは創作しています。実はそれ以来、その猫とは会っていません。もちろん、四六時中、駐輪場に居るわけではありませんので、単に時間帯が合わないだけかもしれません。
さて、ラストのオチの意味は分かりますか?
自分で読み直しても、一瞬「?」となったくらいですから、伝わらないかもしれません。
中盤まで、猫のお気に入りの場所は、“隣の自転車のかごの中”という流れで話を進めています。ところが、ある日、確認したら、私の自転車のかごの中で寝ていた・・・よくよく考えると、あの日、深夜の帰宅だったので、猫としては、私の自転車で寝ることができず、仕方なく隣の自転車で寝た・・・というシチュエーションです。

“その時だけ、深夜近くの時間”が言うなれば、伏線みたいなものですね。普段なら、あってしかるべき時間に自転車がなかったということを遠回しに表現しています。
T308
web拍手 by FC2

| | | コメント (0) | トラックバック (0)

[No.737-2]秋祭り

No.737-2

「確か・・・彼女、居たよね?」

けど、彼女とは一度だけしか祭りに行っていない。

「どうして?」
「当時な・・・」

好きな人が居た・・・彼女以外に。

「それって、今でいう“ゲス”ってやつ?」
「ち、ちがうけど・・・強く否定もできないな」

彼女から告白され、なんとなく付き合い始めた。
そんなある日、その祭りに足を運んだ。

「そしたら、好きな人が彼氏連れてて」

祭りでバッタリ会って、会釈までされた。
その瞬間、何かが崩れ始めた。

「・・・ごめん」
「別にいいよ、もう・・・年前の話だぞ」

ただ、あのシーンは今でも鮮明に覚えている。

「そんな僕を見ていた、“僕の彼女”も何か感じたんだろな」

それから数日も経たない内に、別れを告げられた。

「逆に肩の荷が降りたようでさぁ・・・」

何もかも暑かった夏を、忘れられる秋祭りが好きだ。
S737
(No.737完)
読み終えたら、クリックして頂けると、励みになります。
ブログランキングへ
 ブログランキングへ にほんブログ村 小説ブログ 短編小説へ web拍手 by FC2

| | | コメント (0) | トラックバック (0)

[No.737-1]秋祭り

No.737-1

登場人物
男性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
実家の周辺には、神社やお寺が多い。
比較的、古い町だからかもしれない。

「だから、祭りも多いんだよな」

極端に言えば、一年中、何らかの祭りをやっている。

「私の所も祭りがあるにはあるけど・・・」
「祭りと言うより、“フェスティバル”って感じね」

確かに、僕のところもそんな雰囲気が出始めている。
それでもまだ、良い意味で“古びた感”は残っている。

「中でも、秋祭りが一番好きなんだよな」
「夏じゃなくて?」

こう言うと必ず、そう聞き返される。

「夏は好きじゃない」

少し肌寒さを感じる秋の方が、なんだか落ち着く。

「へぇ~そんなタイプだったんだ?」
「どんなだよ!?」

ただ、その言葉には少し嘘が含まれている。

「ところで、ここに来るのはどれくらいぶり?」
「そうだな・・・卒業以来かな?」

一応、考えるふりをした。
けど、本当はピンポイントで分かっている。

(No.737-2へ続く)

| | | コメント (0) | トラックバック (0)

[No.736-2]流行語

No.736-2

「12月に限定すれば・・・」
「流行語大賞、間違いないな!」

私たちに限ったことじゃない。
今頃は皆が口にする。

「・・・そうよね」

年末になると、過ぎた時間を色々と考えたくもなる。

「あなたも考えた?」
「もちろん!」

私の場合は、1年というより、彼と過ごした半年を考えた。

「どうだった?」
「・・・いつになく幸せな半年だったよ」

それは私も同じだ。

「そうだ!」
「な、なんだよ急に・・・」

流行語はもうひとつあった。

「ねぇ・・・だよね」

彼の耳元でささやいた。
S736
(No.736完)
読み終えたら、クリックして頂けると、励みになります。
ブログランキングへ
 ブログランキングへ にほんブログ村 小説ブログ 短編小説へ web拍手 by FC2

| | | コメント (0) | トラックバック (0)

[No.736-1]流行語

No.736-1

登場人物
女性=牽引役  男性=相手
-----------------------------
「今年も残りわずかだよね」
「それにしても1年は早いよな」

後、1週間もすれば年末を迎える。

「ところでさぁ・・・」
「なに?」

いつになく神妙な顔をしている。

(ま、まさか、ここに来て・・・)

彼と付き合いだして、まだ半年しか経っていない。
それに私にとって初めての彼でもあった。
そんな、私じゃ物足りなかったかもしれない。

「年末になると必ず言うよな・・・さっきのセリフ」
「えっ・・・それ!?」

彼が今度はキョトンとした顔をしている。

「それって、なに?」
「う、ううん・・・気にしない!気にしない!」

危ないところだった。
けど確かに言ってしまうセリフだ。
私も、ここ数日で何度も口にした。

(No.736-2へ続く)

| | | コメント (0) | トラックバック (0)

ホタル通信 No.307

小説の舞台裏やエピソード、作者の想いを紹介します。

小説名:No.274 気になる写真
実話度:★★☆☆☆(40%)
語り手:男性

写真の存在、撮った経緯・・・そして、その写真がイマイチだったことは事実です。

この小説は、「せいじゅうろう」シリーズのひとつとして、発表する予定でしたが、せいじゅうろう(リラックマ)が脇役にまわってしま
ったので、単独作品にしました。
「那央=菜緒」「那央が好きなキャラクター=リラックマ」の関係がその名残りとも言えます。

さて、前述した通り、写真も現存しており、当たり前ですが、そのイマイチ感も健在です。小説上では、そのイマイチ感を「ええよ!でも、また結婚式を思い浮かべると緊張するやん」と、都合よく解釈したラストで締めくくっていますが、事実はそうではありません。
写真が嫌だったわけではないのでしょうが、一言で表せば「心の闇」が、そのような表情を生んだのかもしれません。

あの時、彼女が何を考え、何を見ていたのか、もう伺い知ることは出来ませんが、結果的に、これが一緒に写った唯一の写真になってしまいました。
決して、表情は冴えないけれど、今でも胸を熱くする一枚です。
T307
web拍手 by FC2

| | | コメント (0) | トラックバック (0)

[No.735-2]共通の友人

No.735-2

「共通の?・・・別に珍しくないよね?」

確かに友人の言うとおりだ。
私に限らず、ほとんどの人がそんな立ち位置だ。

「そうなんだけど・・・」
「早い話、やきもち?」

男女間のやきもちとは違うものの、本質的には同じだ。
さっきの人に、何らかの嫉妬を覚えた。

「まぁ・・・ね」

でも、親しく会話をしていたからではない。
私が知らない話題があったからだ。
それが当然のことだとしても・・・。

「私は喜んでいいかな?」
「ごめん・・・なんだか・・・」

友人を奪われた感覚に陥った。
妙な孤独感を味わったと言ってもいい。

「それだけ、大切に思われているってことかな・・・」
「・・・感謝しなきゃね!」

他人に聞かれると、疑われそうな話をしている。

「でも、さっきの人とのほうが仲が良かったりして!」
「も、もう!」

街はそんな共通の友人であふれている。
S735
(No.735完)
読み終えたら、クリックして頂けると、励みになります。
ブログランキングへ
 ブログランキングへ にほんブログ村 小説ブログ 短編小説へ web拍手 by FC2

| | | コメント (0) | トラックバック (0)

[No.735-1]共通の友人

No.735-1

登場人物
女性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
「あれ・・・偶然だね!」

友人が、知り合いとバッタリ出会ったようだ。

「例の彼とデート?」

口ぶりと態度から、かなり仲が良さそうに見える。

「今度、いつもの店で話を聞かせてよ!」
「それじゃぁね!」

友人らしい怒涛の会話だった。
相手が一言も発する間もなく、会話を終了させた。

「デートだって・・・いいなぁ~」
「そ、そ、そうね・・・」

返事に詰まる。
勢いに呑まれたからじゃない。
私の知らない友人の一面を見たからだ。

「どうしたの?」
「う、ううん・・・」

友人は、私の友人でもあり、さっきの人の友人でもある。

「冷静に考えればそうなのにね」
「・・・どういうこと?」

友人は、私とさっきの人との共通の友人ということになる。

(No.735-2へ続く)

| | | コメント (0) | トラックバック (0)

[No.734-2]捨てたもんじゃない

No.734-2

「逃げ出した?」
「だって、私にはどれも選択できなくて」

見捨てることもできず、救うこともできない。
ならば・・・無かったことにしようと思った。

「みんなそうなんじゃない?」

確かにそう簡単には答えが出ない話だ。
野良猫の扱いについては。

「けど、私は・・・」
「エサ、あげたことあるんでしょ?」

友達は分かっていたようだった。

「だって・・・」
「それがあなたのいいところじゃない!」

ただ感情に流されていただけだ・・・美談ではない。

「今日こそ、帰りに寄ってみる?」
「・・・うん!」

彼らの姿は見えない。

「・・・まさか」
「でも、大丈夫みたいだよ」

明らかに、意思を持って置かれたあるモノがその答えだった。
S734
(No.734完)
読み終えたら、クリックして頂けると、励みになります。
ブログランキングへ
 ブログランキングへ にほんブログ村 小説ブログ 短編小説へ web拍手 by FC2

| | | コメント (0) | トラックバック (0)

[No.734-1]捨てたもんじゃない

No.734-1    [No.697-1]分かっていたけど

登場人物
女性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
「ねぇ、ねぇ、最近どうしてる?」

いつもの通り、何の脈略もなく話しかけられた。

「何の話?」

いくつか思い付くが、自ら言わない方がいい。
これで何度も墓穴を掘ったことがあるからだ。

「あら・・・慎重な反応ね」

案の定、それを狙っていたらしい。

「で、何の話?」
「そう、不機嫌な顔しないでよ」

いつも、本題に入るまでが長い。

「ほら、例の・・・三毛猫・・・」
「・・・公園の?」

以前、友達に話したことあった。
公園に住み着いている三毛猫の話を。

「・・・あれからどうなったかなって」
「う、うん・・・」

あれから、あえてそこを避けるようになった。
正直、そこから逃げ出したと言っていい。

(No.734-2へ続く)

| | | コメント (0) | トラックバック (0)

ホタル通信 No.306

小説の舞台裏やエピソード、作者の想いを紹介します。

小説名:No.298 調整力
実話度:★☆☆☆☆(20%)
語り手:女性

実話度は低めです。話の主軸になっているルービック・キューブは全くの創作です。

例えば、会議を開く場合、関係者のスケジュール、開催場所の確保などが必要ですが、単純にそれぞれを準備すればいいものではありません。
それぞれを同時進行させながら、あるところでピタッ!と答えが出ます。たかが、スケジュール調整ですが、大人数ともなるとそう簡単には行きません。もちろん会場も確保しておかなければなりません。

このように、複雑に絡み合った事柄をルービック・キューブに例えてみました。一面はそれだけに集中できるけど、二面になるとそれぞれの都合を加味しなければなりません。
時には、それぞれをワザとずらしておいてから、最後の一手で同時に揃える・・・話が長くなりましたが、この小説はこんなことを言いたかったのです。

どちらかと言うと、真面目な展開なので、ラストは思いっきりふざけてみました。調整力を鍛えていたつもりでしたが、身に付いたのは、二股力だったと。
T306
web拍手 by FC2

| | | コメント (0) | トラックバック (0)

[No.733-2]本当の目的

No.733-2

「そう言うものよ!」

同じサラリーマンとして理解してくれるところが嬉しい。

「けど、良かった・・・楽しめたようで」
「ストレスも発散できたよ!」

旅行の効果と言うより、彼女と過ごせた効果だ。

「私が居なかったら、もっと満喫できたのにね」
「かもな!」
「そ、そこは否定してよ!」

お互い手の内は分かっている。
冗談も言い合いも手馴れたものだ。

「でも、ありがとう・・・な」
「だから・・・それは私のセリフでしょ?」

そうじゃない。
小旅行にかこつけて、僕は目的を果たすことにした。

「・・・なに?」
「う、ううん・・・なんでもないよ」

彼女からのプレゼントは、僕からのプレゼントでもあった。
目的はそこにあった。
S733_2
(No.733完)
読み終えたら、クリックして頂けると、励みになります。
ブログランキングへ
 ブログランキングへ にほんブログ村 小説ブログ 短編小説へ web拍手 by FC2

| | | コメント (0) | トラックバック (0)

[No.733-1]本当の目的

No.733-1

登場人物
男性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
「楽しかったよね!」

付き合いの長い彼女から小旅行をプレゼントされた。

「また行きたいね」
「あなただけで良かったのに」

気ままな一人旅のつもりでプレゼントしてくれた。

「そういうわけには行かないだろ?」
「だって、私のワガママをいつも聞いてくれるし」

純粋に感謝の気持ちだったらしい。

「だとしても、二人の方が楽しいさ」
「ちょっと、引っ掛かるけど・・・まぁ、いいか!」
「・・・しばらく忙しかったもんね」

ここ数年、仕事に忙殺される日々が続いた。

「ごめんな・・・」
「仕方ないよ」

そんなある日、少し纏まった休みを取れることになった。
・・・とは言え、半ば“強制”だった。

「休まなきゃ休まないで、言われるんだから・・・」

何ともサラリーマンはつらい。

(No.733-2へ続く)

| | | コメント (0) | トラックバック (0)

[No.732-2]想いをのせて

No.732-2

「別の虫とか?」

確かに私自身もまだ信じられない。
もう少し、観察してみたほうがいいだろう。

「・・・でも」

専門家ではないが、数十年、彼らを見てきた。
目の前のそれに何の違和感も感じない。

「やっぱり、雪虫みたい・・・」

最近、急激に寒くなってきた。
冬の到来を告げに来たとでもいうのだろうか?

「居るんだ・・・ここにも」

もしかして、気付いていないだけだったのかもしれない。

「へぇ~何だか急に愛着を感じはじめたよ」
「少なくとも悪いやつらじゃないからね」

雪の妖精とも例えられる。
その正体がなんであれ・・・。

「あぁ~色々と思い出すな」
「何を?」

それには答えず、ただ目の前を漂う雪虫を目で追った。
S732
(No.732完)
読み終えたら、クリックして頂けると、励みになります。
ブログランキングへ
 ブログランキングへ にほんブログ村 小説ブログ 短編小説へ web拍手 by FC2

| | | コメント (0) | トラックバック (0)

[No.732-1]想いをのせて

No.732-1

登場人物
女性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
「・・・や、やだぁ!」

友人が何かを追っ払うような動作をし始めた。

「どうしたの?」
「何か虫が・・・ほら!」

確かに、蚊のような小さいな虫が数匹飛び交っている。

「・・・あれ?」

よく見ると、私にとっては見慣れたものだった。

「雪虫!?」
「なんでここに・・・」

北海道を離れて以来、ここでは一度も見た事がない。

「ゆきむし?」
「ほら・・・以前、話したことがあるじゃない?」

雪虫は冬の到来を知らせる、象徴的な存在だ。

「・・・これがそうなの!?」
「うん・・・でも、こんな所に居るなんて・・・」

北海道だけ・・・とは言わないが、雪国だけ居ると思っていた。

(No.732-2へ続く)

| | | コメント (0) | トラックバック (0)

ホタル通信 No.305

小説名:No.251 恐怖の日曜日
実話度:★★★☆☆(60%)
語り手:女性

小説の通り、その感覚は今でも上手に伝えることが出来ません。
それに「なぜ?」と聞かれても「そう感じたから」としか答えることが出来ません。

病気で寝込んでいたこともあり、起きているのか寝ているのか、どちらとも言えない中で、聞こえてきた友達のはしゃぐ声を今でも覚えています。
今、振り返ると恐怖と言うより、孤独感だったのかもしれません。
それも自分だけが別世界に居るようなとても大きな孤独感です。
当時、テレビの影響を受けて子供心に四次元の世界を信じていましたから、そこに居るかのような感覚だったのでしょうね。

今では少し難しいシチュエーションなのかもしれません。
子供の頃、自宅はいわゆる袋小路に位置しており、加えて周辺は土手と畑しかない、のどかな環境でした。小説にも書いた通り草木のこすれる音が聞こえるくらいでした。今は随分と拓けてしまい、もう二度と体験することはできなくなりました。

子供の頃には「なぜ?」と聞かれても上手く答えられない体験をいくつかしています。今、それらの光景を目に浮かべながらこのホタル通信を書いています。
T305
web拍手 by FC2

| | | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2016年11月 | トップページ | 2017年1月 »