[No.728-2]夢を見させて
No.728-2
車の走る音や意味不明な騒音で目が覚める。
当然ながらビーチも山も見えない。
「分かるわ~その気持ち」
「私もしばらく、後遺症で悩まされたもん!」
長期休暇にありがちな・・・というより、海外旅行にありがちな・・・だ。
けど、今回はそれとも少し違う。
「なんだろう・・・すごく後ろ髪を引かれるようで」
今までそんな気持ちになったことがない。
結局、自宅が一番落ち着くからだ。
「独特の時間が流れているよね」
「そうね・・・私もそう思う」
単に南国だからではない。
快適さで言えば、日本の方が数段上だ。
「それに普段よりも人と接することができたし」
“ありがとう”と何度、言ったことか・・・。
店員しかり、見ず知らずの人、しかりだ。
「わかる!わかる!」
「自然に出ちゃうのよね」
日本に帰ってきても、その感覚がしばらく残ったほどだ。
「とにかく・・・満喫できたみたいで良かったね」
「もうしばらくは夢を見させてもらうことにするわ」
その言葉通り、ここ数日間はハワイの夢しか見ていない。
(No.728完)
読み終えたら、クリックして頂けると、励みになります。
| 固定リンク | 0
「(030)小説No.726~750」カテゴリの記事
- [No.750-2]叶えてあげる(2017.03.22)
- [No.750-1]叶えてあげる(2017.03.19)
- [No.749-2]ボロボロの本(2017.03.16)
- [No.749-1]ボロボロの本(2017.03.14)
- [No.748-2]スーツの悲鳴(2017.03.12)
コメント