[No.726-2]息を潜めて
No.726-2
「そやかて・・・」
納得いかない感じだ。
それは、僕も同じだ。
「通りやすくなるのは嬉しいけどね」
だからと言って、撤去して欲しくはない。
「来週から、撤去が始まるみたいだな」
「あまり時間がないやん!」
抗議したところで、覆るわけではないだろう。
正当性はあっちにあって、こっちにはない。
「とにかく、しばらく気にしておくよ」
「うちもそうする」
来週の今頃、小道は綺麗になっているはずだ。
ほとんどの人は、それを歓迎するだろう。
でも、そうじゃない人もいる。
「みんな知ってるのかな?」
一見すると邪魔と思われる草木も役に立つこともある。
いつもここを通るからこそ、それを実感している。
「・・・・彼らの居場所だってことを」
「どうやろな」
そこは野良猫にとって、格好の居場所だった。
だから、彼女も拘るのだ。
自分と同じ目にあわせたくない一心で。
(No.726完)
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